野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

多摩森林科学園・・・令和3年11月20日

 多摩森林科学園は中央線高尾駅から北へ徒歩10分。この時季、京王線に乗り換えて高尾山の方へ行ってしまい、科学園に足を向ける人はまずいません。そうですから、ゆっくり科学園の自然を独り占めにできます。修復が終わり、奥まで見学ができます。紅葉は勿論ですが、第3樹林地には、各種シダが生えていて、シダの観察に適した場所になっています。桜保存林は、葉をすべて落としていました。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=森林科学館、中・右=園内もみじ

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(↑上の写真)左・中=イタアカエデ、右=イロハカエデ

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(↑上の写真:園内の黄葉)左=イヌビワ、中=ヤマグワ、右=イヌブナ

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(↑上の写真:秋の残花))左=アキノタムラソウ、中=サラシナショウマ、右=クサギ(実)

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(↑上の写真)左=ハダカホオズキ、中=ヤマホロシ、右=フユイチゴ

 ヤマホロシ(山桯・山保呂之、山疿子)はナス科ナス属。北海道から九州、朝鮮半島、中国の温帯の山地に生える蔓状の多年草。ほとんどの図鑑は、ホロシの語源は、不明か解説なしです。Web上ではいろいろな情報があります。植物分類学者の高橋秀男氏は「ホロシは、赤い果実を皮膚にできる疿子(ほろし)(小さな発疹)に見立てたものである」としています。(Web:四季の山野草)では「ホロシとは ヒヨドリジョウゴ の古名で、赤く熟した実が乾燥すると皮がぶつぶつ状になる様子を皮膚病のホロシに見立てた名前」としています。ここら辺りの説が、説得力がありそうです。すると和名は「山疿子」がよさそうです。漢名の山桯の桯(音=テイ、意味=寝台の前に置く小さな机、横木と出ています。)では理解に苦しみます。野楽力研究所としては、和名は「山疿子」を推奨します。赤い実を「疿子」と思ってみると「山桯」では感じなかった親しみを感じますね。

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(↑上の写真)左=ヤマイタチシダ、中=オオイタチシダ、右=フモトシダ

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(↑上の写真:どれもウラジロ)左=特徴的二叉の分枝、中=表面、右=ウラジロと言われる理由の裏が白い。

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(↑上の写真)左=コシダの二叉・二叉の特徴的形態、中=コシダの葉裏、右=第3樹木園の園路 

 コシダ(小歯朶・小羊歯)はウラジロ科。関東より西の地方に生える。コシダは、マツタケの生える松林に生えていることが多いので、マツタケを籠に盛る時、このコシダの葉を敷くそうです。コシダは「小さいシダ」の意味ですが、ウラジロに比べて小さいからです。昔はウラジロのことを単にシダと呼び、歯朶の字をあてたということで、朶は枝の意で羽片を歯にたとえたということです。漢名の羊歯はオシダのことだといいます。ですが、今では、歯朶も羊歯もシダ類全般を指す語となっています。シダの歯は齢(よわい)のことだと(漢字に歯の字が使われているので、牽強付会ですが)読ませ、長寿を表しているということです。つまり、シダとは長寿の目出度い草というわけで、正月の注連飾りや鏡餅の飾りに用いられてきました。さらにウラジロは葉裏が白いことから、「心の潔白さ」と「白髪になるまで長生きする」ということも表すそうで、コシダも同様でしょう。<上の写真参照>(Web:レファレンス協同データベースなど参照)

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(↑上の写真:どれもベニシダ)左=ベニシダの形態、中=一番下の羽片の小羽片の特徴的な形態、右=葉裏の胞子嚢群のつき方

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(↑上の写真:どれもハリガネワラビ)左=ハリガネワラビの形態、中=葉裏の胞子嚢群、右=表面の羽軸の色がきれいに変化したもの

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(↑上の写真)左=ゲジゲジシダ、中=ホシダ、右=リョウメンシダ

 ゲジゲジシダ(蚰蜒羊歯)はヒメシダ科。(村田威夫・谷城勝弘共著:野外観察ハンドブック「シダ植物」)によると東北地方中部から九州に広く分布し、葉軸に小羽片が翼のように並ぶ様をゲジゲジの脚に見立てて名づけられた、という。確かに、羽片がついている葉軸に菱形の小羽片が翼のように並んでいます(写真参照)。これが見わけの最大の特色です。

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(↑上の写真)左=イワガネゼンマイ、中=ヤブソテツ、右=コバノヒノキシダ