都立東大和公園は、狭山丘陵の東大和市内にあり、解説板によると昭和54年に開設された東京で最初の丘陵公園ということです。20haの広さがあり、ボランティアの方々のお陰で、萌芽更新も適宜行われ、薪炭林だった里山として保存されています。この時季、保護されているリンドウが立派に花開き、小春日和に恵まれた日向で、咲き誇っていました。ノコンギクが紺色鮮やかに咲き乱れる傍らでは、コウヤボウキの白い花がひっそり咲いています。今日の様子です。
(↑上の写真)左=公園入口、中=ノコンギク、右=コウヤボウキ
(↑上の写真)どれもリンドウ
リンドウ(竜胆)はリンドウ科リンドウ属。APG牧野植物図鑑Ⅱによると「本州、四国、九州の山や丘陵地に生える多年草。茎は中空で直立又は斜上、高さ20~90cm。」とあります。湯浅浩史著『花おりおり』には「高原の花のしんがりに咲く。清少納言も『異花(ことはな)どものみな霜枯れたるに、いと花やかなる色合いにて』と書く。野生の花は陽光を好み、日陰や曇天には開き切らない。リンドウの名は漢名の竜胆の音読みに由来。解釈には諸説あるが、根の苦さを竜の胆(きも)にたとえたとも。消化不良や食欲不振の薬に使う。」とあります。「茎は直立又は斜上」というのは上の写真・左が正にその通りですね。
(↑上の写真)左=「ナラ枯れ」はじめたコナラ、中=カシノナガキクイムシに食害されたコナラの根元、右=コナラの実(やがて親木が枯れた日当たりでどんぐりは発芽し、親に代わって幼木が育っていくでしょう。)
松枯れ病の後、ここ数年猛威を振るっているのがナラ枯れ病です。カシノナガキクイムシが運ぶナラ菌によって通水障害を起こし、水分がとれず木が枯死してしまう現象です。太い木がやられるようで、里山の薪炭林として管理されていた時代は、太い木は萌芽更新されて元気のいい若い木が薪用、炭用として育てられていましたので、ナラ菌に対してそれなりの抵抗力があったようですが、里山を自然保護の観点から伐らないようになった自縄自縛の結果だったようです。安易に自然保護を叫ぶだけでは、自然保護にならない例と言えるでしょう。
(↑上の写真)左=アカマツも見える園路、中=「アカマツとハルゼミ」の解説板、右=市民によって保護されているアカマツの実生の苗木
ここの公園も松枯れ病(マツノマダラカミキリによって拡散されるマツノザイセンチュウによりマツが枯れる病気)に襲われ、ほとんどのアカマツが姿を消してしまいましたが、現在、その実生が育ち、ボランティアによって保護育成されています。いずれ、ハルゼミの声を聞くことができるようになるのが楽しみですね。
(↑上の写真)左=ハリガネワラビ、中=イノモトソウ、右=ヤブソテツ