野楽力研究所

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多摩地区街中自然観察・・・令和3年8月22日

 立っているだけで汗が吹き出てくるような真夏日が続き、その後は大気不安定の雨模様で、外出のチャンスを見逃しました。コロナ感染防止の為には良かったかのしれません。きょうは曇り空ということで暑さを避けて早朝に月一度の多摩地区街中の自然観察に出かけました。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=街中の畑の風景、中=ゴンズイの実、右=ビヨウヤナギ

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(↑上の写真)どれもサルスベリ

 サルスベリ百日紅、猿滑)はミソハギサルスベリ属。中国原産の落葉高木。葉は通常2対互生(コクサギ型葉序)ですが、対生になることもあるということです。色の違う花もありますが、紅色が原種。花弁は、黄色い雄しべ、雌しべを取り巻く6枚の縮れた花弁です(中の写真)。花だけでも豪華ですが、まとまると写真のように絢爛という感じですね。漢名は百日紅ですが、夏の初めから終わりまで百日も紅い花が咲き続けるというので名づけられたそうです。小説の中でもよく取り上げられる花ですが、今日は、忘れてはいけない教訓を含んだ忘れられない事件の話題を取り上げたいと思います。学習院大学同級生、愛新覚羅慧生さん19歳と大久保武道さん20歳は天城山中八丁池畔のサルスベリの木の下、ピストルで無理心中をしました。昭和32年のことでした。慧生さんは清朝王朝のラストエンペラー満州国皇帝愛新覚羅溥儀氏の実弟溥傑氏の長女。世が世なら大変な身分の人でした。武道さんは青森の素封家とはいえ、愛新覚羅家には受け入れられなかったようです。悲しい結末ですが、いつの時代にもこういう話はあるもので、この教訓は忘れてはならないでしょう。

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(↑上の写真)左=タマスダレ、中=ホナガイヌビユ、右=クレオメセイヨウフウチョウソウ

 ホナガイヌビユ(穂長犬莧)はヒユ科ヒユ属。熱帯アメリカ原産の1年生帰化植物で世界中に分布している、ということです。今までは、すっかりイヌビユと思っていましたが、イヌビユの葉先は凹んでいますが、ホナガイヌビユは葉の先端が尖っています。イヌビユはくきが茶褐色になっている部分がりますが、このホナガイヌビユは全草青色です。ですから別名はアオビユ。ヒユに似ていますがイヌも食べない役立たない雑草というのでイヌビユと名づけられたようです。アオビユの名を標準和名として採用してあげたいですね。この草もよく見てあげると、他との区別を主張しているようです。見過ごすわけにはいかないと思いました。

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(↑上の写真)左=ノゲシ、中=オニノゲシ、右=シンテッポウユリ

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(↑上の写真)左=エノキグサ、中=ハキダメギク、右=ザクロソウ

 エノキグサ(榎草)はトウダイグサ科エノキグサ属。日本各地の道端や畑などに生える1年草。葉がエノキの葉に似ているので名づけられました。同じような命名の草にクワクサがあります。この2つは、区別がつきにくいのですが、この時季、雄花は穂状花序になり、雌花は苞葉に包まれるので、区別がつきます。トウモロコシの様に、エノキグサは茎頂に雄花をつけます。写真のようにトウモロコシのようにはなっていませんが、1本の棒のような雄しべ(穂状花序)をつけます。これがよく目立ちます。雌花は苞葉に包まれる形で3つの球形が鎮座しています。受粉し、種子を作り出すと苞葉が閉じ始めますが、それは、編み笠のようでもあり、アミガサソウとも言われることがあるそうです。ミニチュワのようによく工夫を凝らした草姿なので、感心してしまいます。ぜひ、観察してみてください。

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(↑上の写真)左=カヤツリグサ、中=メヒシバ、右=オヒシバ

 カヤツリグサ蚊帳吊草)はカヤツリグサ科カヤツリグサ属。本州、四国、九州に分布。田畑、荒れ地、草地に生える1年草、ということです。茎の断面は三角形で、茎を割き、両端をうまく引くと四角形ができます。それが蚊帳を吊った時のような格好になることから、子供たちが蚊帳吊草といって遊んだということです。のどかな時代でした。茎の断面が三角形だと植物としては、丈夫さと資材節約ができますが、水を角の隅々まで行き渡らせにくいということもあるようで、湿り気のある所に生えるということのようです。

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(↑上の写真)左=カラスウリ、中=ユウゲショウ、右=アベリア(ハナゾノツクバネウツギ)

 アベリアといわれるハナゾノツクバネウツギ(花園衝羽根空木)はスイカズラ科ツクバネウツギ属。ウィキペディアによると、アベリア(Abelia)とは、スイカズラ科ツクバネウツギ属(Abelia)に属する植物の総称、または、ツクバネウツギ属の常緑低木の交配種ということです。街路樹には、花のよく咲くこのアベリアが植栽されています。原種のツクバネウツギは、本州、四国、九州北部の日当たりのよい山地に生える落葉低木。高さ1~2m、葉は2~5cm。花は晩春、枝先に2個ずつ咲き、花冠は長さ3~4cmということですから、アベリアよりも花が一回り大きいようです。和名は、花弁が落ちた後に残っている5枚の萼片は輪状で羽根つきの羽根のようなのでツクバネ(衝羽根)、茎が中空なのでウツギ(空木)からきています。

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(↑上の写真)左=ラベンダー、中=ヤブガラシ、右=ヤブミョウガ