野楽力研究所

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平山城址公園(西園・東園)・・・令和3年6月16日

 花の少ない時季ですが、梅雨の晴れ間に自然観察をしました。オカトラノオが満開、ヤブレガサも花を咲かせています。今日の様子です。

<西園にて>

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(↑上の写真)左=西園入口、中=オカトラノオ、右=ホタルブクロ

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(↑上の写真)左・中=ヒヨドリバナ(早めに咲き始め)、右=ドクダミの群落(遠目には綺麗)

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(↑上の写真)左=ギシギシ、中=ウマノミツバ、右=アカネ(特徴ある4枚の輪生葉)
 ウマノミツバ(馬之三葉)はセリ科ウマノミツバ属。日本全土の林下の木陰などに生える多年草。若葉のころは一見、食用のミツバのように見えるので大事に育てているとどんどん大きくなり、今度は花を期待して待つのですが、期待に応えず、見映えのしない小さな花で落胆させられます。それに根こそぎ除草しないと毎年大きな顔で出てきます。野田市HPによると「ミツバ に似ているが食用にならないどころか,毒性があるためこの名がある」と、あります。馬にでも食べさせておけば、くらいの軽い気持ちで「馬之三葉」と名づけられたようです。暗い木陰で頑張っているので愛でてあげてもらいたいと思います。

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(↑上の写真)左・中=コウゾ(=ヒメコウゾ)、右=猿渡の池

 コウゾ(楮)はクワ科コウゾ属。『APG牧野植物図鑑』によると「本州、四国、九州、琉球列島、及び台湾、朝鮮半島、中国の暖帯に分布。山地に野生化するが、普通製紙の原料として栽培する落葉低木。葉は互生し、若葉には深い切れ込みがある。雌雄同株。雄花は若枝の基部、雌花は上部葉腋に着く。果実が球形に集まり、初夏に赤熟し甘くて食べられる」ということです。ミツマタと共に古くから樹皮が製紙原料として利用されてきました。ウィキペディアによると「楮の皮の繊維は、麻に次いで長く、繊維が絡み合う性質も強く、その紙は粘りが強く揉んでも丈夫な紙となる」ということです。

<東園にて>

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(↑上の写真)左=東園入口、中・右=オカトラノオ

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(↑上の写真)左=ヤブレガサ、中=花のアップ、右=ヨウシュヤマゴボウ

 ヤブレガサ(破れ傘)はキク科ヤブレガサ属。本州以南の山地の木陰に生える多年草ウィキペディアによると、頭花は7~13個の小花からなり、すべて両性の筒状花。小花の花冠は5裂し、花柱の先は2つに分かれ反り返る、とあります。一見キク科コウヤボウキ属のハグマ、例えばカシワバハグマの花に似ています。APG牧野植物図鑑によると和名の破れ傘は、春先の絹毛に覆われた若葉の姿が、すぼめた傘のように見え、かつ切れ込みがあるのに基づく、と書かれています。若葉だけでなく写真の今の様子も破れ傘のように見えます。しかし、風情は確かに若葉の時の方があるかも知れませんね。

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(↑上の写真)左・中=チダケサシ、右=ギシギシ

 ギシギシ(羊蹄)はタデ科ギシギシ属。日本各地の原野、道端などの湿地に生える多年草。ギシギシとスイバは草姿がよく似ていて、間違えやすいですね。簡単で有効な見分け方は、茎に葉柄がなくついている葉の基部の形が「矢じり型」「片仮名のスイバのス型」だったらスイバで、葉柄があり、基部が丸型ならギシギシといえます。上の写真の者は葉柄があるのでギシギシです。ウィキペディアによると、「和名の由来は諸説あるが、正確な語源は明確ではない。京都の方言に由来するという説や、子供たちの遊びで茎をすり合わせてギシギシという音を出していたことからこの名があるという説が言われているほか、実が詰まってついていて、穂を振るとギシギシと音を立てるからともいわれる」と、ありますので、ご覧の皆様も由来に挑戦してみてください。羊蹄は漢名です。

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(↑上の写真)左=ヤネタビラコ、中=花のアップ、右=コブシの実

 ヤネタビラコ(屋根田平子)はキク科。長田武正著『原色日本帰化植物図鑑』によると「ヨーロッパ原産で、日本には昭和45年頃、北海道、長野県、東京都、千葉県などから前後して採集、報告されている。和名は、ヤネ・タビラコ(屋根・田平子)で、学名tectorum(屋根の)をもとに北村四郎博士がサハリンに入ったものにつけた名」ということです。今回、写真のようにコウゾリナと見紛う花を見つけました。茎にざらつきがありませんし、どことなくコウゾリナより柔らかい感じです。素人用の図鑑には、全く載っていませんでした。一般化したのが最近で、昭和45年頃に報告されるようになったものなので、仕方ありません。帰化植物図鑑の2冊と神奈川県植物誌に載っていましたが、原色日本帰化植物図鑑が一番詳しかったです。これからどれほどの速さで広まっていくか興味がもたれます。ご覧の皆様で、平山城址公園の写真のものがヤネタビラコでよいかどうか、同定していただけたらありがたいです。

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(↑上の写真)左・中=ムラサキシキブ、右=シロシキブ

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(↑上の写真)左=マルバアオダモの実、中=カマツカの実、右=終わりと始まりの広場

 マルバアオダモ(丸葉青梻)はモクセイ科トネリコ属。四国、九州と本州の山地に自生する高さ5~15mの落葉高木。。アオダモイチローのバットに利用されたたことで有名になりました。粘り気のある材質がバットにちょうど良いそうです。アメリカの選手はメープル、日本で言うカナダ産のカエデを使っているそうです。切った枝を水につけておくと水が青くなるのでアオダモといわれたそうで、ダモはトネリコのことをいったそうです。マルバアオダモアオダモの仲間で、アオダモの葉には鋸歯があるのですが、マルバアオダモの葉には鋸歯がなく全縁です。つまり、マルバとは葉の形が丸いという意味ではなく、葉の縁がギザギザせずつるっとした感じを丸い葉と表現したもののようです。

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(↑上の写真)左=ハリガネワラビ、中=フモトシダ、右=ミドリヒメワラビ