今日は真夏のような日照りでした。ヤマボウシが満開で陽を照り返していました。コアジサイも咲き始めました。サイハイランが群落で満開でした。群落は、付近にたくさんありました。この珍しい様子は今、ここでないと見られません。今日の自然の様子です。
(↑上の写真)どれもヤマボウシ、中=花のアップ、右=花の裏側
(↑上の写真)左=コアジサイ、中=ウグイスカグラ実、右=ヤブムラサキ(裏側から)
コアジサイ(小紫陽花)はアジサイ科アジサイ属。山渓ハンディ図鑑4『木の咲く花』2によると「関東地方以西の本州、四国、九州の山地や丘陵の明るい林内や林縁など普通に見られる日本固有の落葉低木」という。「葉は対生で縁には三角状の鋸歯が規則的に並ぶ。花は6~7月、枝先に直径5cmほどの散房花序を出す。装飾花はなく、花はすべて両性花の小花の集まり。花弁は白色から淡青色で5枚。なお、葉は秋には黄葉する。種子は約0,6mmと小さい」という。今の時期、花を林縁に見ることが出来ます。上の写真では白色ですが、紫色のように色づいたものもあります。
(↑上の写真)どれもサイハイラン、右=ランの仲間であることを示す花のアップ写真
サイハイラン(采配蘭)は、ラン科サイハイラン属。日本、東アジアの山地の木陰に生える多年草という。葉は、越冬性で、写真のように開花と前後して枯れるので茶色になった葉も写っています。その後、新しい葉を伸ばし、その葉は越冬します。部分的菌従属栄養植物ということです。菌類から必要な栄養をもらっているので葉の数が少なくても栄養が足りるとのこと。葉が広いので、他の草の葉が枯れている冬の間にも栄養を貯めているようです。そのうち従属栄養専科になるとオニノヤガラのように葉が無くなると考えられています。和名は、花の様子を武将の采配に見立ててつけられました。
(↑上の写真)左=トリアシショウマ、中=オカタツナミソウ、右=園路
トリアシショウマ(鳥脚升麻)はユキノシタ科チダケサシ属の多年草。トリアシショウマはアカショウマと似ていて区別がつきにくいです。ヤマブキショウマとは葉の形がヤマブキにそっくりで葉脈がはっきりしていて、葉が厚いので区別できます。矢野亮監修『日本の野草』夏編によると「北海道、本州(中部地方以北)の山地の林内や草原などに生えるアカショウマの1変種」ということです。だから似ているわけです。牧野富太郎著『牧野新日本植物図鑑』によると「草丈60cm内外、葉は2~3回3出複葉。小葉は薄く卵形または長卵形で先端は尾状に鋭く尖り、縁には重鋸歯があり、長さ3~10cm位」とあります。頂小葉の先端が尾状に鋭く尖るというところが区別点です。上の写真は、花に近づけずに撮りましたが、尾状の感じは撮れています。草姿が漢方の升麻に似ていて、花茎が丈夫にすっと伸びている感じが鳥の足ではなく、脚に似ているということだそうです。3出複葉が鳥の足(指)に似ているのかと思いましたが、そうではないようです。
ドクダミ(蕺草、蕺)はドクダミ科ドクダミ属。『牧野富太郎植物記2 野の花2』によると「日本のほか中国、インドシナ半島にしか分布しない世界的には名高い珍しい植物」ということです。「中心の花穂は、小花の集まり。この小花は、花弁も萼もなく、3本の雄しべと1本の雌しべがあるばかりで、雄しべも雌しべもしなびていて繁殖能力がありません。そのため種子が出来ず、もっぱら、地下茎を伸ばして繁殖します」と書かれています。しかし、多田多恵子著『したたかな植物たち』によると「日本のドクダミは、3倍体で受粉せずに結実〈単為生殖〉する」とあります。牧野先生より多田先生の方が現代の学者なので、多田先生を信じたいと思います。ドクダミの繁殖の様子を見ていると地下茎だけでなく、飛散した種子から芽生えたとしか思えない離れたところで芽生えが見つかり、繁殖しているのを見ることがあります。皆さんは如何でしょうか。なお、ドクダミの語源は、毒にも痛みにも効くという意味の「毒痛み」や独特のにおいが毒を溜めているようなので「毒溜め」が転訛したという説や抗菌や殺菌作用を持つので「毒を消す」という意味で「毒を矯める」と言われ「毒矯め」からドクダミになったという説もあります。
(↑上の写真)左=リョウメンシダ、中=オクマワラビ、右=ヤマイタチシダ
(↑上の写真)左=イノデ、中=ベニシダ、右=ヤブソテツ