片倉城跡公園の彫刻の広場の中央にあるヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)が満開です。園内ではヤマブキソウが奥の沢で群生し一面を黄色に染めています。イチリンソウは大きな花を、ニリンソウは二輪の花を咲かせています。特にイチリンソウは今が見事です。今日の様子です。
(↑上の写真)左=「浦島ー長寿の舞」も緑に囲まれて、中と右=ヒトツバタゴ
ヒトツバタゴ(一つ葉田子)はモクセイ科ヒトツバタゴ属。『牧野植物図鑑』によれば、本州中部の木曽川流域と対馬に自生する雌雄異株の落葉高木。国の絶滅危惧II類 (絶滅の危険が増大している種)に指定されています。和名は一ッ葉のタゴの意味で、タゴはトネリコのこと。トネリコは羽状複葉ですが、本種は単葉なので、一葉トネリコの意味ということです。見慣れない木なので、一名ナンジャモンジャの木ともいわれて親しまれています。野球のバットに用いられるマルバアオダモはモクセイ科トネリコ属で馴染みのトネリコなので、羽状複葉の葉の姿が想像できると思います。また、花も同じような感じがしますね。ところで、佐々木類著『静かなる日本侵略』によると、対馬では島を象徴する花としてヒトツバタゴが大切にされていますが、最近は(註:もう以前のことですが)海外の観光客が植える木槿(ムクゲ=韓国の国花)の花が増え始め、ヒトツバタゴが侵略され始めているそうです。対馬の湾を囲むように白い花が海面に映えることを「ウミテラシ」と呼ぶそうですが、いつまでもこういう光景が見られることを祈念したいと思います。
(↑上の写真)左=イチリンソウ、中=イチリンソウとニリンソウ、右=ニリンソウ
(↑上の写真)どれもヤマブキソウ、右=奥の沢の群落
ヤマブキソウ(山吹草)はケシ科ヤマブキソウ属。『APG牧野植物図鑑』によると東北地方以南の山地の樹林下に生える多年草で、茎や葉に有毒な黄色の乳液を含むということです。萼片は緑色で2枚、花時には落ちて無くなります。花弁は4枚。雄しべは多数、雌しべは1本。細長い蒴果には種子が多数でき、種子で結構増えます。ヤマブキソウという名は、一見、バラ科のヤマブキに色、形が似ていることによるということですが、名前が先行しているようで、ヤマブキソウはケシ科ヤマブキソウ属で花弁(はなびら)は4枚です。ヤマブキはバラ科なので、花弁は5枚、花の形が違います。しかし、春の同じ時期に黄色く大きな花をつけたところを遠目に見ると、同じように見える感じはしないでもないですね。
(↑上の写真)左=タチツボスミレ、中=ニョイスミレ、右=サギゴケ
サギゴケ(鷺苔)はサギゴケ科サギゴケ属。北海道南部から九州までの田の畔や道端に生える多年草。根元から匍匐枝を長く出し、花茎の下部には葉が群生する。花は春から夏に開き、花冠は長さ1,5~2㎝と大きい。和名鷺苔は、花の様子を鷺に見立てたもので納得。紫花品種はムラサキサギゴケ、白花品種はシロバナサギゴケといわれます。似た花にトキワハゼがありますが、比べると花が小さく、匍匐枝がありません。
(↑上の写真)左=ユキザサ、中=チゴユリ、右=ホウチャクソウ
(↑上の写真)左=エンコウソウ、中=オオジシバリ、右=ミツバツチグリ
エンコウソウ(猿猴草)はキンポウゲ科リュウキンカ属。自生地は極東アジア。日本では本州、北海道の山地の湿地に生える多年草。リュウキンカの変種ということで一見リュウキンカと見間違えてしまいます。赤っぽい茎先が斜上し、先端で通常2本の花柄を出し、黄色い花をつけます。黄色い花弁(はなびら)のように見えるものは、花弁ではなく萼片が花弁に変化したものだそうです。和名の猿猴草は、この斜上した赤い茎が猿猴が手を延ばした様子に似ているのでつけられたということです。その様子が分かるようで撮ったのが上の写真です。
(↑上の写真)左=カキドオシ、中=ネコノメソウ、右=タカトウダイ
(↑上の写真)左=ムサシアブミ、中=ヒエンソウ、右=フジ
(↑上の写真)左=イヌワラビ、中=オクマワラビ、右=ゲジゲジシダ
(↑上の写真)左=ゼンマイ、中=カサスゲ、右=丘上の展望