日野市立南平(みなみだいら)丘陵公園では、木々の風景を見るとまだ冬の雑木林という感じです。その足元を見るとアレアレ!随分春の足音が聞こえてきました。春の野草の先発隊ですね。今日の様子です。
(↑上の写真)左=コスミレ、中=タチツボスミレ、右=シロバナタチツボスミレ
コスミレ(小菫)はスミレ科スミレ属。東北南部以南の里山や人家の半日陰の所に生える茎の無い(無茎性)多年草で、葉は根際から束生、ということです。スミレの中で一番先に咲き始めるスミレです。いろいろ変異が多く、ノジスミレ、アカネスミレに似ているものもあるそうですが、葉の形が三角形で、一番先に咲いていたらまずコスミレです。上の写真では、ノジスミレのような葉も混じっていて、?と思いましたが、この春初めに咲いているということでコスミレとしました。
(↑上の写真)左=ショカツサイ、中=ヤマルリソウ、右=キクザキイチゲ(明日にでも気温が上がれば開葉開花するでしょう。)
ショカツサイ(諸葛菜)はアブラナ科ショカツサイ属。別名がいくつかあります。本年初出なので載せましょう。オオアラセイトウ(大紫羅欄花)、ハナダイコン(花大根)、ムラサキハナナ(紫花菜)、因みにアラセイトウ(紫羅欄花)はストックのことで漢字は中国名だそうです。
(↑上の写真)左=ムラサキケマン、中=タネツケバナ、右=オオイヌノフグリ
タネツケバナ(種漬花)はアブラナ科タネツケバナ属。APG牧野植物図鑑によると日本各地及び東アジアから南アジアの温帯から暖帯に分布。水田、溝の畔、水辺の湿地などに生える越年草。和名の種漬花は、苗代を作る前に米の種もみを水に漬ける時期に花が咲くのでこの名がある、とあります。つまり、畔づくりをされる前、稲が育つ前に、花を咲かせ、種をつくり、子孫繁栄を図る戦略とも考えられます。可愛らしい花なのに賢い戦略を考えていますね。
(↑上の写真)左と中=ウグイスカグラ、右=カンスゲ
ウグイスカグラ(鶯神楽)はスイカズラ科スイカズラ属。APG牧野植物図鑑には本州・四国の山野に生える落葉小低木、全体が無毛である点がヤマウグイスカグラと異なるが、区別しない意見もある、と記述されています。花後、小さなグミのような赤い液果が熟します。名の由来は諸説あり、鶯を捕まえる「狩り座(かりくら)」が訛ったもの、鶯がこの木の中を飛び回る様子が「神楽を舞う」ようだからというもの、鶯がこの木の中に隠れるようだから「鶯隠れ」が訛ったものなど、どれもそれらしい感じがします。牧野植物図鑑では、恐らく鳥のウグイスに関係があろうがはっきり分からない、とあります。
(↑上の写真)左=(トキワ)シノブ、中=イノデ、右=イノモトソウ
シノブ(忍)は、シノブ科シノブ属。樹木の樹皮上などに着生する落葉多年生草本。東アジアに広く分布し、沖縄以南の暖地のものには常緑のものがあるということです。吊りシノブとして観賞して楽しむシノブは、今は、葉は枯れて無くなっていて、根茎のみがむき出しになっていると思います。上の写真のシノブは落葉していないので、多分、誰かが台湾産などのトキワシノブを持ち込んだと思います。牧野植物図鑑によるとシノブは忍ぶ草を略したもので、この草が土が無くても乾いてもなお耐え忍ぶという意味で、植物は土を必要とするという前提に立った名である、と書かれています。
(↑上の写真)左=管理棟とシンボルツリー(クヌギ)、中と右=園路の様子