野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

さいたま緑の森博物館・・・令和3年1月22日

 今回は里山満喫コース(1時間30分)をゆっくり、フィトンチッドを浴びながら自然観察です。案内所は閉鎖中。そこから狭山丘陵を一つ越えて西久保湿地といわれる平坦な場所とそれに続く畑地の散策です。畑地では春の兆しを感じることができました。今日の自然の様子です。

f:id:noyama_ko:20210122203716j:plain
f:id:noyama_ko:20210122203728j:plain
f:id:noyama_ko:20210122203742j:plain

(↑上の写真)左=案内所、中=トンボ池、右=西久保湿地

 案内所は2月7日まで閉鎖中。トンボ池は昭和25年まで田んぼだった谷戸でしたが、現在はヨシに覆われ、僅かに残る水面は凍っていました。西久保湿地には、道祖神ということでしょうか、上手に彫られた木像が心を和ませてくれます。

f:id:noyama_ko:20210122204331j:plain
f:id:noyama_ko:20210122204352j:plain
f:id:noyama_ko:20210122204405j:plain

(↑上の写真)左=ナズナ、中=ホトケノザ、右=オオイヌノフグリ

 西久保湿地を過ぎて暫くすると明るい畑地に出ます。畔には春が訪れていました。ナズナ(薺)はアブラナ科ナズナ属。室町時代春の七草として、セリ、ナズナ……の二番目に詠まれているので、日本在来の植物のようにも思いますが、世界の温帯、暖帯に分布しているそうで、日本にはムギと一緒に入ってきた史前帰化植物だそうです。遠藤周作著「深い河」にこの花が出てきます。(修道僧になれず南仏の修練院で修行中の大津が美津子へあてた手紙になかなか修道僧になれない理由として)「いくら明晰で論理的でも、このヨーロッパの基督教のなかには生命の中に序列があります。『よく見ればなずな花咲く垣根かな』は、ここの人たちには遂に理解できないでしょう。もちろん時にはなずなの花を咲かせる命と人間の命とを同一視する口ぶりをしますが、決してその二つを同じとは思っていないのです。」と、西洋人の自然に対する態度、生命観の違いを述べています。大津はいつも民衆の苦しみをキリストの如く背負おうとしていました。遠藤周作の悩みであったかもしれません。(深い河:ガンジス河)

f:id:noyama_ko:20210122204647j:plain
f:id:noyama_ko:20210122204658j:plain
f:id:noyama_ko:20210122204708j:plain

(↑上の写真)コースの中で出会った 左=アオキ、中=オモト、右=カラスウリ

 オモト(万年青)はキジカクシ科オモト属。APG牧野植物図鑑によると「本州東海道以西、四国、九州、および中国の暖帯に分布。昔から観葉植物として愛用され園芸品種も生い多年草。花は春から初夏。液果は赤熟するが稀に黄色のものもある」という。松田修著「花の文化史」によると「オモトの名は、九州豊後の宇佐八幡に近い、御許山(おもとやま)から産したものが最も上等なので、これからその名が起こったと記している古書もあるが、これは、大本(おおもと)の意味で、粗大な株を表したものというのが定説」といいます。漢名は万年青で、庶民の間では、これを庭に植栽しておくと万年、青々と家門が繁栄するという縁起のいい植物といわれます。本当に一年中、冬の厳しい寒さの中でも葉を青々と茂らせ、赤い実をつけてくれます。一家繁栄の兆しです。

f:id:noyama_ko:20210122204855j:plain
f:id:noyama_ko:20210122204907j:plain
f:id:noyama_ko:20210122204917j:plain

(↑上の写真)コースで出会った若芽 左=ヒメオドリコソウ、中=セントウソウ、右=ムラサキケマン

f:id:noyama_ko:20210122205059j:plain
f:id:noyama_ko:20210122205116j:plain
f:id:noyama_ko:20210122205132j:plain

(↑上の写真)左=オオバノイノモトシ、中=クマワラビ、右=トラノオシダの栄養葉

f:id:noyama_ko:20210122205309j:plain
f:id:noyama_ko:20210122205320j:plain
f:id:noyama_ko:20210122205333j:plain

(↑上の写真)どれもベニシダ 左=若葉、中=胞子嚢が裏についている葉、右=胞子嚢の様子

f:id:noyama_ko:20210122205536j:plain
f:id:noyama_ko:20210122205554j:plain
f:id:noyama_ko:20210122205608j:plain

(↑上の写真)風景 左=山道、中=狭山丘陵の眺め、右=西久保湿地の眺め