この時季に訪れる人は、ほとんどありません。キチジョウソウの花がひっそり咲いていました。イイギリの赤い実が青空にくっきり浮きたち、日本庭園の松には雪吊りが掛けられ、池の面には、静かに池畔の木々が写し出されています。シダも、会いたかったホシダに会うことができました。こもれびの丘の北側園路に各種シダが見られます。今日の様子です。
(↑上の写真)左=正門を入って正面の風景、中、右=もみじ
(↑上の写真)左=柳ともみじ、中と右=もみじ
(↑上の写真)左=イイギリ、中=クロガネモチ、右=サンシュユ
(↑上の写真)左=マユミ、中=キチジョウソウ、右=センボンヤリ
キチジョウソウ(吉祥草)はキジカクシ科キチジョウソウ属。関東以西、四国、九州の樹林内の木陰に生える常緑多年草。花は秋から晩秋に咲き、冬に赤い実(液果)をつけます。植えている家に吉事があると花開くという伝説により、吉祥草といわれるそうで、縁起の良い花といわれます。庭にナンテン(南天=難転)、吉祥草、オモト(万年青)を植えておくと一年中いいことだらけですね。
センボリヤリ(千本槍)はキク科センボンヤリ属。春に咲く普通の開放花と秋につく閉鎖花との2型があるとのこと。秋の蕾は閉鎖花ですから開花することがなく、自家受粉によって突然という感じで種子が作られます。確実に種子がつくられますが、クローンですから、病気などの適応に弱いと言われます。上の写真は、秋にできた痩果(たんぽぽ果)です。大名行列の儀仗用の毛槍のようです。それがたくさん並んでいるようなのでセンボンヤリと言われるそうです。どのような大名の露払いをしたのでしょうか。そういう歴史に思いを馳せると山野草観察も暫し愉しくなりますね。
(↑上の写真)左=ヤブソテツ、中=ヤマヤブソテツ、右=シケシダ
(↑上の写真)左=ホシダ、中=オクマワラビ、右=オクマワラビの胞子嚢(ソーラス)
ホシダ(穂羊歯)はヒメシダ科ヒメシダ属。東北南部以西に生える常緑性のシダ。葉の先端は槍の穂先のように尖るのが特徴です。イヌワラビにも葉先が穂状に尖っているようなものもあり、見違えやすいです。イヌワラビは2回羽状複葉で羽片の切れ込みが完全に羽軸まで達し、小羽片が独立しています。ホシダは、図鑑によって1回羽状とか単羽状とか2回羽状中裂とか表現されています。中裂というのは小羽片の切れ目が羽軸までの1/2までしか届いていないことの表現ということですから、ちょっと切れ込みのある感じです。イヌワラビとの違いは、小羽片の切れ込みをよく見れば、明白です。
(↑上の写真)左=トラノオシダ、中=タチシノブ、右=オオバノイノモトソウ
(↑上の写真)左=こもれびの丘の園路、中と右=日本庭園の池の周縁の風景