野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

生物多様性センター・・・令和2年12月4日

 神代植物園の北側に隣接する生物多様性センターは、東京の各地域の自然を再現しています。奥多摩から伊豆諸島まで、そこに生息する植物を土や砂も含めて移植しています。小笠原諸島のものは、神代植物園の大温室で育てられています。ようやく根付いてくれて、自然の感じが出てきました。ここにはシダ植物が育てられている区域があります。なお、入場無料ですが、来園者は少ないです。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=西門入口、中=ノコンギク、右=ヤツデ

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(↑上の写真)左=イソギク、中=カラタチ、右=ビナンカズラ

 カラタチ(枳殻)は、ミカン科ミカン属。「APG牧野植物図鑑」に中国大陸中部原産で、日本には古代より渡来し、生け垣やミカン類の台木として植栽される2~3mの落葉低木。果実は径3~4cm、芳香があり枳実(きじつ)と呼ばれ薬用にする、とあります。北原白秋作詞「からたちの花」に「からたちも秋はみのるよ。まろいまろい金のたまだよ。」と表現されています。有吉佐和子著「華岡清洲の妻」に「枳殻(からたち)の牆(かき)の前で、民は振り返って得意そうに小鼻をひらいて見せたが、加恵は頷くことも忘れて、庭に打ち水している於継の美しさに見惚れていた」とあります。麻酔薬開発の陰で、美しい嫁と美しい姑の確執の物語でしたね。

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(↑上の写真)左=メグスリノキ、中=ヤマコウバシ、右=ガマズミ

 メグスリノキ目薬の木)はムクロジ科カエデ属。本州、四国、九州の日本原産の落葉高木。葉は対生し、三出複葉。カエデのような実がなり、葉は真っ赤に紅葉し、落葉すると三出複葉はバラバラになるとの説明。山でこのもみじに出会うと赤い色のすばらしさに驚かされます。拾い上げると1枚ですが、微妙に形が違い、3枚で一葉であることがわかります。「APG牧野植物図鑑」には和名は「目薬の木」で民間薬として、樹皮を煎じ洗眼に用いた、とあります。葉室麟著「影ぞ恋しき」に、「雨宮蔵人は柔術の指南だけでなく、山に入ってメグスリノキを採ってきて、目薬を作るという特技があった。作った目薬を京の薬屋にもっていけば買ってくれるのだ。蔵人が目薬を作って売っているなどと武士らしくない振る舞いをしている話をすると、冬木清四郎は口をぽかんと開けて『雨宮様は思いもかけぬことをされます』と驚いた。傍らにいた咲弥が微笑んだ。『わたくしも夫婦となって蔵人殿の内職の話を聞いて驚きました。あの折は武士にあるまじき振る舞いと思いましたが…』『蔵人さまは武士の心を失わずに金子を得ることができる人なのだと思うようになりました』と淡々と咲弥は話すのだった」と。小藩小城藩の内紛で義を通す蔵人と妻咲弥の話でしたね。<一部翻案>

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(↑上の写真)左=イヌワラビ、中=イノモトソウ、右=カニクサ

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(↑上の写真)左=タチシノブ、中=フモトシダ、右=ミドリヒメワラビ

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(↑上の写真)左=ベニシダ、中=ミゾシダ、右=武蔵野ゾーンの風景