野楽力研究所

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八王子市立片倉城跡公園・・・令和2年11月19日

 小春日和のいい天気に恵まれ、紅葉前線も里に下りてきました。ここは彫刻家北村西望氏の作品と北村西望賞を受賞した彫刻が展示されています。それらの作品がもみじの中で一段と力強く輝いています。時折吹く風に枯れ葉がはらはらと舞い落ち、秋の深まりを感じさせています。今日の様子です。

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(↑上の写真)散る寸前のもみじ

 紅葉の仕組みは葉に含まれるクロロフィル葉緑素)とカロチノイド、アントシアニンという三色素のバランスによるそうで、クロロフィルは緑色、カロチノイドは黄色、アントシアニンは赤色の素ということです。気温が低くなると光合成の働きが鈍くなり、緑色のクロロフィルは分解してなくなり、その下に隠れていた黄色のカロチノイドが表面に出てきて黄色くなるそうで、イチョウの葉など黄色くなる葉はその原理で黄色くなるわけです。赤色のアントシアニンは、葉にはもともと無いもので、光合成によってできた糖分が赤い色素アントシアニンに変化し、赤くなるということです。日光がよく当たる葉は、糖分が盛んに作られるので、秋晴れが続き急に冷え込む時には、作られた糖分が急激に分解され、紅葉が早くすすむとのことです。

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(↑上の写真)もみじに映える彫刻 中=北村西望氏作品「浦島長寿の舞」

 北村西望は、長崎平和公園に立つ「長崎平和記念像」(昭和30年完成)の制作者として有名ですが、長崎県出身ということでゆかりの地だったんですね。この平和像は、奇しくも武蔵野市の井之頭公園の中にある自身のアトリエで制作されたそうです。昭和50年代半ば、八王子市で「彫刻のある街づくり」が進められた際には、北村西望賞の受賞作品を野外展示する「彫刻公園構想」が進められ、北村西望ご本人がこの公園を非常に気に入られ、展示場所として自ら選定し、昭和57年に除幕したそうです。この公園に展示されている彫刻は、そのようなゆかりがあり、ゆかりを知るとさらに鑑賞に味わい深いものを感じますね。

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(↑上の写真)秋の様子  中=ナツヅタに彩られる水車小屋

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(↑上の写真)左=園内風景、中=池を覗くダイサギ、右=ハチオウジアザミ(八王子薊)アザミの新種

 ハチオウジアザミ(八王子薊)はキク科アザミ属。湿地に生える多年草。平成24年に新種として発表された多摩地域固有のアザミだそうです。上の写真は残っていた最後の花です。

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(↑上の写真)秋の実り 左=ピラカンサ、中=カラスウリ、右=ネムノキ

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(↑上の写真)秋の実り 左=センダン、中=ムク、右=コクサギ

 クサギ(小臭木)はミカン科コクサギ属。本州、四国、九州の山野の林下に生える落葉低木で、花は春に咲き、雌雄異株。和名のコクサギは、葉にクサギ(臭木)のような臭気のある小型の木の意味といわれます。この時季、薄黄色く色づいた葉を見るとその形から一見、コブシの葉のように見えます。それにしては木が小さく低木で、大きな花芽がなく、代わりに薄茶色の4つに分果した実がついており、よく見ると葉の付き方がコクサギ型葉序になっているので、コクサギと同定できました。なお、臭気のあるのはミカン科だからでしょうか。

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(↑上の写真)秋の実り 左=マユミ、中=ノササゲ、右=カシワバハグマ

 マユミ(真弓)はニシキギニシキギ属。別名ヤマニシキギ。沖縄を除く日本各地の山野に自生する落葉低木。図鑑によっては雌雄異株とし、雌木だけでも結実すると書いてあるものもあります。Web「NHKみんなの趣味の園芸」には「マユミは、雌雄異株とする情報もありますが、雌しべが短い花をつける個体があり、結実しにくい傾向があるだけなので、雌雄同株とするのが妥当です」とあります。名前の由来については、Web「植木ペディア」には、「枝には柔軟性があり、よくしなるので弓の材料になったことが縄文時代の遺跡によって証明されており、『真弓』と名付けられた」とあります。湯浅浩史文「花おりおり」には、詩人、村次郎の説が紹介されています。「丸く膨らんだ実は種子を包む。それが繭を思わせるので、「繭実」だというのである」と。それぞれ自分なりに名前の由来を創作して愉しむのもいいかも知れませんね。

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(↑上の写真)シダ各種 左=ベニシダ、中=イヌワラビ、右=ミゾシダ

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(↑上の写真)シダ各種 左=イノデ、中=ヤブソテツ、右=ヤマイタチシダ