野楽力研究所

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東高根森林公園・・・令和2年10月13日

 東高根森林公園は神奈川県立の天然記念物のシラカシ林に囲まれた谷戸と丘陵とからなる森林公園です。谷戸には水辺を好む山野草が植栽されています。ツリフネソウ、キツリフネ、フジバカマが満開でした。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=谷戸の様子、中・右=イヌショウマ

 イヌショウマ(犬升麻)はキンポウゲ科サラシナショウマ属。関東、近畿の丘陵、山地に生える多年草サラシナショウマの大きな花穂が印象に残っていると育ちの悪いサラシナショウマかと思ってしまいますが、葉の形が全く違うので、葉の形で区別すると見分けが簡単にできます。小葉の葉先が鈍三角形の感じがします。上の写真は、葉が分かるように撮りました。和名犬升麻は薬用にならない升麻の意といわれます。因みに各Webを参考にすると、升麻は、漢方の生薬でサラシナショウマの根茎を用いるとのこと。主要成分は、トリテルペノイド、 ステロイドで、カゼや熱などによるできもの、のどの痛み、口内炎など皮膚の化膿性疾患に薬効があるそうです。

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(↑上の写真)左=フジバカマ、中=キツリフネ、右=ツリフネソウ

 フジバカマ藤袴)はキク科ヒヨドリバナ属。本州以南の川岸の土堤や湿った草地に生える多年草絶滅危惧種ヒヨドリバナに似ています。葉は対生ですが、3裂に深く切れ込んでいるところが違います。髙樹のぶ子著『小説伊勢物語 業平』に「藤原高子姫に袖にされた業平は、兄行平のすすめにのって、山科には、父ゆかりの寺も庵もあるというので、そこに移り住むことにしました。……(庵には)庵を囲むように生えだした藤袴も、喪服の袴のように思え、このまま消え入りそうな、心細い日々を過ごすばかり」とあります。フジバカマは、確かに喪服の袴のように思えないことも無いですね。このような平安時代の印象が意外とフジバカマ(藤袴)という名の謂れかも知れません。

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(↑上の写真)左=アキノウナギツカミ、中=ミゾソバ、右=セキヤノアキチョウジ

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(↑上の写真)左=カシワバハグマ、中=カリガネソウ、右=キバナアキギリ

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(↑上の写真)左=ヤブマメ、中=シュウカイドウ、右=トネアザミ

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(↑上の写真)左=ウメモドキ、中=ヤブミョウガ、右=クサギ

 クサギ(臭木)はシソ科クサギ属(以前はクマツヅラ科)。日当たりのよい原野などに生える落葉小高木。和名臭木は葉に臭気があるからといいますが、そう思って嗅ぐのでそういう匂いがするので、いい香りと思って嗅ぐと、また忘れられない香りです。湯浅浩史著「花おりおり」には「花は甘く香る。白い花冠と赤い萼のツートンカラーが美しい。丸い小さい果実が秋に熟する頃、5枚の萼はさらに赤みを増して目立つ」と書かれています。花は夏から初秋に咲き、結構大柄な白い豪華な花です。クロアゲハなどの蝶が盛んに蜜を吸いに訪れます。萼は紅紫色を帯びて、普通の花では、萼は落ちてしまうことが多いですが、臭木では、いつまでも落ちずについていて(宿存性で)青色の実ができるころにはさらに紅紫色が濃くなります。鳥に食べてもらうためにアッピールしているのでしょうか。実は染料になるそうです。上の写真では、遠くに赤い花が見えるので何かなと思って写しました。拡大してみると、青い実が落ちて残った紅紫色の萼だったことが分かりました。宿存性の萼とはこういうことだということも分かりました。