山ではリンドウの季節になりました。トリカブトも咲いています。ほとんどの草花は草もみじになっていました。この日は空に雲が多くなり始めましたが、清々しい高原の空気に触れることができました。訪ねたところの様子を順番にご紹介します。<写真をクリックすると拡大されます>
(4)沢入登山口から入笠湿原までの登山道・・・ツタウルシの紅葉が見事でした。
(↑上の写真)左=カラマツに囲まれた登山道、中と右=ツタウルシの紅葉
ツタウルシ(蔦漆)はウルシ科ウルシ属。日本全国山地の落葉樹林内に生育する落葉木本つる植物で雌雄異株。葉は互生し、3出複葉です。人によっては、体質によりはかぶれることがあります。蔓から気根を出して樹木をのぼり、日の当たるところで枝を拡げ、日光を奪います。林業では「つる切り」という作業で、木に絡まるつる植物を除去します。山を見回り、蔓に気づいたら、つる切りをします。これをしないと木はつるに締め付けられ、いびつな育ち方をして、商品価値がなくなってしまうので紅葉はきれいなのですが嫌われものなのです。林をきちんと管理している所では、ツタウルシの紅葉を見ることはありません。手があまり入れられていない林ならではの光景です。東京高尾の多摩森林科学園では見ることが出来ます。
(↑上の写真)左・中=ツタウルシの紅葉、右=微笑岩
登山道にある微笑岩は、そう思ってよく見るといくつもの動物の笑顔が重なっているように見えます。いくつの笑顔が見えるでしょうか。今回、こんな大きな岩なのに無名というのは、可哀そうと思い、勝手に微笑岩と名付けました。登山の安全を微笑をもって見守ってくれています。
(↑上の写真)左=ウリハダカエデ、中=ヤマウルシ、右=メギ
ヤマウルシ(山漆)はウルシ科ウルシ属。全国各地の山林中に生える落葉小高木。雌雄異株。若枝や葉柄は赤味を帯びる。葉は奇数羽状複葉。若い木の葉の縁は浅裂して鋸歯状となり、その先は尖る。上の写真は、若い木の枝の紅葉です。若い木の枝の葉なので図鑑で見るヤマウルシの複葉の小葉のように全縁ではなく、写真のように浅裂鋸歯状になっています。
(↑上の写真)左=ノコンギク、中=ハナイカリ、右=ヤクシソウ
(3)入笠お花畑・・すっかり草もみじに被われています。スズランの実が可愛らしかったです。
(↑上の写真)左=お花畑を俯瞰する、中=アキノキリンソウ、右=アキノウナギツカミ
(↑上の写真)左=ゴマナ、中=ヤマトリカブト、右=ヤマハハコ
(↑上の写真)左=ヤナギタンポポ、中=ノハラアザミ、右=ノコンギク
(↑上の写真)左=お花畑に広がる秋空、中=スズラン(実)、右=オオバギボウシ
(↑上の写真:草もみじ)左=イタドリ、中=レンゲツツジ、右=クサソテツ
(2)入笠すずらん山野草公園・・ここは植栽しているのでまだ花が残っています。
(↑上の写真)左=もみじに彩られて、中=オヤマリンドウ、右=サラシナショウマ
オヤマリンドウ(御山竜胆)はリンドウ科リンドウ属。本州中部、四国の高山帯に生える多年草。この花は、ここでも花を開かず茶色に枯れているものが多かったです。気難しい花のようで、なかなか花が開いた場面に出会えません。日が差した正午ごろが適期でそれ以外では開きませんね。上の写真はその瞬間を狙ったものです。花屋さんから買ってきて花が開くのを楽しみにしているといつの間にか開かずに枯れてしまうことを経験されていることと思います。リンドウとは、湯浅浩史著『花おりおり』によると「リンドウの根の苦さを竜の胆(きも)にたとえたとも。消化不良や食欲不振の薬に使う」ことから竜胆(リンドウ)といわれるということです。「山渓『山の花』Ⅱ」に「科名を代表するリンドウにも、同じ仲間のセンブリのような苦みがあって、根茎は健胃剤の材料に使われている。昔、馬子たちが客を乗せる馬の首飾りにこの花を使っていた。鈴がリンとなって馬子がドウ、だからリンドウだなどと落とし噺を聞いた。さらにこの噺にはおまけがあって、その証拠に信州追分にはアサマリンドウがある。このアサマは信州の浅間山ではなく伊勢の朝熊山(あさまやま)に多い花である」とあります。付け足しですが、アサマリンドウは浅間林道だったというのはどうでしょうか。
(↑上の写真)左=アキノキリンソウ、中=フシグロセンノウ、右=マツムシソウ
(↑上の写真)左=ノコンギク、中=ヤマトリカブト、右=(二番咲きの)シモツケ
(↑上の写真)左=ヤナギタンポポ、中=ノハラアザミ、右=ハナイカリ
(↑上の写真)左=公園より八ヶ岳の眺望、中=花持ちの良いオミナエシ、右=ワレモコウ
八ヶ岳の眺望:一番高い尖った山が赤岳、その左の丸い感じの山が阿弥陀岳。
(1)入笠湿原・・標高1734m
(↑上の写真)左=湿原の貴婦人、中=オヤマリンドウ、右=サラシナショウマ
(↑上の写真)左=ノコギリソウ、中=ウメバチソウ、右=ヤマトリカブト
(↑上の写真:どれも実)左=メギ、中=マムシグサ、右=ヤナギラン
メギ(目木)はメギ科メギ属。本州以南の山野に生える落葉低木。多数分枝し高さ1m位。稜のある枝に葉を密生し、棘がある。Web:庭木図鑑「植木ペディア」によると、この棘のあることから防犯用に生垣に使われたとのこと。和名の目木はメグスリノキと同様、葉や茎を煎じてその煎汁で洗眼し、充血や炎症を防いだというので目木と言われるようになったということです。また、別名コトリトマラズ(小鳥止まらず)といわれますが、これは、この木の棘のために小鳥が止まれないことに由来し、同じく棘のあるメギ属に「ヘビノボラズ」という木もあり、この木の別名は小鳥ではなく「トリトマラズ(鳥止まらず)」といわれ、図鑑に載っています。
(↑上の写真)どれも草もみじに彩られる湿原風景