野楽力研究所

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神代植物公園(植物多様性センター・本園・水生植物園)・・・令和2年7月15日

 太陽がなかなか顔を見せてくれませんので、傘を持って神代植物公園を訪れました。本園を挟んで、北側に植物多様性センター、南側に水生植物園が接しています。これら二つの施設は入場無料です。この時期ですから、山野草の花は少ないですが、今日の様子です。本園のムクゲ園では、韓国の国花「ムクゲ」が満開です。

<植物多様性センターにて>

 植物多様性センターには、東京の奥多摩ゾーン、武蔵野ゾーン、伊豆諸島ゾーンが、そこの環境を模して造成されています。

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(↑上の写真)左=南門、中=カワラナデシコ、右=キキョウ

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(↑上の写真)左=ヤマユリ、中=ヤブカンゾウ、右=ユウスゲ

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(↑上の写真)左=レンゲショウマ、中=チダケサシ、右=ミソハギ

 チダケサシ(乳蕈刺・乳茸刺)はユキノシタ科チダケサシ科。本州、四国、九州の山野のやや湿ったところに生える多年草。APG牧野植物図鑑スタンダード版には「花は夏、淡紅色または白色。和名乳蕈刺は長野県の山間部に住む人々が、チダケ(傷つけると乳液を出す食用キノコ)を採取したとき、この草の茎につき刺して持ち帰ることに由来する」と。(引用者註:蕈の音読みはジン、訓読みは、きのこ。乳茸刺を使う図鑑が多い。)Webサラノキの森には「乳茸は食べるというより、出汁がよく出るので、うどんなどの出汁に使うことが多い」と記されています。学名のアスチルベで呼ばれる園芸種は同じものだそうです。

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(↑上の写真)左=アキノタムラソウ、中=ユウガギク、右=ハナイカダ(実)

<本園>

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(↑上の写真)左=正門を入って、中=ハス(大鉢植え)、右=キクイモモドキ

 ハス(蓮)はハス科ハス属。APG牧野植物図鑑スタンダード版によると「中国、インドの原産。非常に古い時代に中国から日本へ渡来した。和名は古名ハチスの略で、果実の入った花托が蜂の巣の様であることによる」という。メンデルスゾーン作曲、津川主一訳詞 歌曲「歌の翼」に『歌の翼をかりて行かな 幸にあふるる夢の国へ 陽のさす園に花は香り 見渡す池に蓮(ハチス)におう』という歌詞があり、戦後、若者はこの歌曲を口ずさみながら蓮の花咲く幸あふるる夢の国を夢みました。

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(↑上の写真)左=オミナエシ、キリンソウ(終わり)、右=キキョウ

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(↑上の写真)左=ソバナ、中=ハグロソウ、右=ヒメヒオウギズイセン

 ハグロソウ(葉黒草)はキツネノマゴ科ハグロソウ属の関東以西の半日陰の林縁などに自生する多年草。和名のハグロソウは葉が暗緑色であることによるとする解説がほとんどでそのため漢字では葉黒草と書かれます。たとえば平成令終会編「雪国植物園の花々三百選」には「近くの他の草々の葉の色と比較すると確かに葉が黒っぽく見える。それで葉黒草と名付けられた」と記されています。ところがWeb「岡山理科大学」の解説では「花は約2cmで上唇と下唇に分かれており、上下につぶれた形で薄っぺらく面白い形である。内側には赤褐色の斑紋があり、これを「お歯黒」に例えたのであろうか」と花からお歯黒を想定したようです。花にはお歯黒の黒さは無いように思いますが、どうでしょうか。

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(↑上の写真)左=ヤマユリ、中と左=ヒツジグサ(日本自生のスイレン) 

 ヒツジグサ(未草)=スイレン睡蓮)はスイレンスイレン属。松田修著「花の文化史」には「スイレンは睡蓮の意味で、この花が朝に開いて夕に閉じるからで、一名ヒツジグサの名もある。これは未(ひつじ)の刻、今の午後2時から開花するというのでこの名が起こったものらしいが、事実は、この花は、早朝から夕刻まで咲きつづけ、必ずしも未の刻とは関係ない。したがって、スイレンの名は正しくはこの日本産のヒツジグサにつけられた名である。日本産の睡蓮は白一色なのに対して、西洋産は色彩に変化があり、花も大きい。」とあります。

<本園のムクゲ園にて・・6選>

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 ムクゲ(槿・木槿)はアオイ科フヨウ属(フヨウ属のことをラテン語ではハイビスカス属)の中国原産といわれる落葉低木。一日花ですが次々に咲くので、韓国では「無窮花」ともいうそうで「永久の花」に通じるので国花とされています。ムクゲの短命な花にたとえて「槿花(きんか)一朝の夢」という言葉がありますが、永久の花であることを願いたいです。

<温室の熱帯花木室にて・・5選>

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<温室のラン室にて・・3選>

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<温室のベゴニア室にて・・3選>

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<温室の熱帯スイレン室にて・・3選>

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<水生植物園にて>

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(↑上の写真)左=水生植物園入り口、中=ミズキンバイ、右=ノカンゾウ

 ミズキンバイ(水金梅)はアカバナ科チョウジタデ属。本州、四国、九州の水辺に生育する抽水性(根は水底の泥の中で茎と葉は水面から出ている)の多年生草本。一見、帰化植物のような雰囲気の草ですが、日本の歴とした在来種で、しかも数を減らしている絶滅危惧種ウィキペディアによれば生育が確認されているのは千葉県、神奈川県、高知県、宮崎県の4県のみという。それで見かけることが無かったんですね。山渓野草ハンドブック「夏の花」には「キンバイは金梅でバラ科キンポウゲ科の黄色の花によく使われる命名」という。花の時期は夏から秋にかけてですからこれからです。ここでは、あちこちに随分咲いていましたから、楽しみです。

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(↑上の写真)左=アサザ、中=コウホネ(これから)、右=チダケサシ

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(↑上の写真)左=ヒメヒオウギズイセン、中=ハンゲショウミソハギ、右=水生植物園の様子