野楽力研究所

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平山城址公園(西園・東園)・・・令和2年5月20日

 平山城址公園は、日野市にある都立公園。平山季重が城主を務めていた城跡。東園が今年になってから整備開放され、自然観察にはとても良い園路が造られました。今日はもともとあった西園と新しい東園を回りました。タウナミソウ、ガマズミ、コアジサイが満開で、コゴメウツギ、マルバウツギ、ヤマツツジエゴノキなどは咲き終わりという感じです。<写真をクリックすると拡大されます>

(1)西圓にて

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(↑上の写真)左=もともとの西圓入口、中=ノアザミ、右=ヤナギタンポポ

 ノアザミ(野薊)は、キク科アザミ属。この時期に咲いているアザミは、このノアザミだけです。アザミに似ていますがアザミ属ではないキツネアザミ(狐薊:キク科キツネアザミ属)も咲いていますが、小さい花なので間違うことはないでしょう。アザミの語源の通説はWebBOTANICAによると、花を摘もうとした時にとげが指に刺さって驚くことから、「驚き興ざめしてしまう」という意味の古語「あざむ」という言葉が語源になっている、というものです。花言葉は「独立」とか「触らないで」とかいくつかあるようです。「触らないで」はいかにも独立志向の人が考えそうな不愛想な言葉ですが、花言葉は、過去の誰かが言った言葉に縛られることなく、自由発想で考えるのが楽しいと思います。そうすると「触らないで」などとつれない言葉でなく、この愛らしい花、しかも野にある花に相応しく「やさしく触って」がいいのではないでしょうか。野の花のような乙女に相応しいやさしい言葉でノアザミはあなたにささやいていると思います。優しい独立志向の女性を象徴している言葉と思います。花言葉「やさしく触って」。

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(↑上の写真)左=ヤマツツジ、中=ヤマボウシ、右=ウグイスカグラ

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(↑上の写真)左=エゴノキ(森のシャンデリア)、中=マルバウツギ、右=ベニバナニシキウツギ

(2)東園にて

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(↑上の写真)左=園内風景、中と右=タツナミソウ

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(↑上の写真)左=ミヤマナルコユリ、中=ニガナ、右=キツネアザミ

 ミヤマナルコユリ(深山鳴子百合)とナルコユリ(鳴子百合)は、新分類でキジカクシ科アマドコロ属。ナルコは鳴子で、イネの収穫期に鳥の食害を防ぐために、木の板に竹筒や板などを吊り下げてそれに紐などをつけて家の陰などまで曳き延ばし、この紐を引いて音を鳴らして鳥を追い払うというのでその仕掛けを鳴子といい、その当番を鳴子守といったそうです。ミヤマナルコユリナルコユリは、花のつき方が、鳴子の竹筒などを吊下げた形に似ているので名づけられました。そのミヤマナルコユリナルコユリは、どちらも花柄を細く長く葉裏に沿わせてその先に花を二輪下垂させています。ですが、それだけではアマドコロとは区別できても両者を区別できません。ミヤマナルコユリは、茎の様子を見ると、茎が千鳥状にはっきり折れ曲がっているので、その点が区別点です。花托の部分が緑色しているものがアマドコロとの区別点としている図鑑もありますが、必ずしもそうでないものも多く難しいです。

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(↑上の写真)左=ウグイスカグラ、中と右=ガマズミ

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(↑上の写真)左=コゴメウツギ、中=コアジサイ、右=カキ(柿)の花

 コゴメウツギ(小米空木)はバラ科コゴメウツギ属の落葉低木。牧野植物図鑑に、小さい白花を小米(米粒のくだけたもの)と形容して名付けたものとあります。小米は小さいコメではなく、精米の時に砕けたコメということで、小さいことを強調した名付けでしょう。花は、タイミングよく出合わないと大抵咲き終わった後の花を見ていることが多いようです。それは花弁のようになった白い萼片を見ているということです。花弁は白い萼片の間にすらっと伸びた先の丸いへらのような形のものです。ともに5枚ずつあって交互になっていますが、花弁はすぐ散ってしまうので、残りの白い萼片を花弁と見間違えて見ている場合が多いです。芸術的な花の形をしています。コゴメウツギの花の最盛期は終わりかけていましたが、咲き始めた花を写すことができました。白い萼片はやがて茶色になり、種子をしっかり抱え込みます。

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(↑上の写真)左=キブシの実、中=スイカズラ、右=木道の園路のある風景