野楽力研究所

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都立浅間山公園・・・令和2年4月28日

 浅間山(せんげんやま)公園は、府中にあるムサシノキスゲの保護で有名な所です。今年は暖冬だったので花が早いかなと思ったのですがムサシノキスゲは例年通りのようでまだ開花には早いようです。なお、今年のキスゲまつりは中止になっています。キンランは株がずいぶん増えていました。全山キンランという感じです。しかし、ギンランは株数が減り、一株しか発見できませんでした。

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(↑上の写真)いずれもキンラン。左=増えている様子、中=群生、右=ランということがわかりますね。

 キンラン(金蘭)はラン科キンラン属の多年草。やや乾いた明るい丘陵地の雑木林に半開きの状態で咲くというので、浅間山はぴったりの環境です。キンランは移植ができないといわれています。根が外菌根菌と共生していて、この菌が他の樹木の根とも共生しているという複雑な共生関係の上に炭素窒素の栄養と土中の無機塩類のやり取りをしているとのことで、単独にキンランを植えても5年もせずにこの外菌根菌が消滅してしまうので枯れてしまうということです。外菌根菌は根の細胞内には入らず、根の細胞の外側を被い栄養のやり取りをするので、根を痛めませんが、内菌根菌(今はこの言葉は使わないそうですが、分かりやすいので)は細胞の中に入り込むので、根を痛めてしまいます(腐らせてしまいます)。キンランはこの外菌根菌と上手く共生しているんですね。なお、キンランは環境省の絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)に分類されています。(ウィキペディアその他多くのWebサイトを参照)

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(↑上の写真)左=ギンラン、中と右=ムサシノキスゲ

 ムサシノキスゲ(武蔵野黄菅)はススキノキ科ワスレグサ属。浅間山は、古多摩川に周囲を侵食され、その時に多摩丘陵から切り離され、取り残された部分です。ここに生えていたキスゲ多摩丘陵から切り離され、独自の進化を遂げ、変種したもので「武蔵野植物記」で檜山庫三氏がムサシノキスゲ命名し、ニッコウキスゲよりノカンゾウに近いと指摘されたそうです。園内の解説板には「ムサシノキスゲは、ニッコウキスゲの変種で、低所の乾地におりた型である。ユリ科(註:最新のAPG分類では「ススキノキ科」となっています。)ワスレグサ属に分類される多年草で、丘陵地の林下、時には草地に生育し、花は淡黄色で、素敵な芳香があり、3~6花を5月上旬から下旬に開く。花は6つに分かれ、花型は、ニッコウキスゲというよりもむしろノカンゾウ型で葉は細長く8月には枯れ始める。なお、自生地は、現在ここ浅間山だけである。」と、あります。なお、東京都レッドデータブックの絶滅危惧I類(CR+EN)(このままでは野生での存続が困難なもの)に指定されています。

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(↑上の写真)左=浅間神社(祭神=木花咲耶姫命)、中と右=キランソウ

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(↑上の写真)左=タチツボスミレ、中=カキドオシ、右=ホウチャクソウ

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(↑上の写真)左=自然状態のハナミズキ、中=ウグイスカグラ、右=クルメツツジ

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(↑上の写真)蕾三選:左=ガマズミ、中=イボタノキ、右=マユミ