春の日差しが輝く新府城には、スミレやセンボンヤリ、フデリンドウが咲き、本丸跡からは八ヶ岳が望まれました。人はほとんどおらず、無接触、無会話で静かに観察できました。
(↑上の写真)左=センボンヤリ、中と右=フデリンドウ
センボリヤリ(千本槍)はキク科センボンヤリ属。春に咲く普通の開放花と秋に咲く?閉鎖花との2型があるとのこと。上の写真は春型の開放花で、どうやらこれは花が咲き終わった状態。赤紫色がきれいなので、これから開花するものと思っていたところ、咲き終わると花弁の裏側の赤紫色が目立つようになるということです。春の開放花は、ほとんど種子を作らないということですが、それでも虫媒によって他家受粉し、種子ができた時には、新しい遺伝子が作られます。秋の花は閉鎖花ですから開花することなく、自家受粉によって種子が作られます。自家受粉ですから確実に種子ができますが、クローンであり、遺伝子的に弱くなってしまいます。何かの時に生き残れるのは他家受粉したものということであれば、春の花の存在感が増しますね。秋の閉鎖花は、花茎を伸ばし、先端にタンポポに似た冠毛のある痩果をつけますが、それが大名行列の先頭を歩く儀仗用の毛槍のようなので、それがたくさん林立している様子から千本槍と名付けられたということです。書物によっては閉鎖花の蕾の様子が槍先のようなので名づけられたというものが多いようですが、毛槍を想像した方が雰囲気があるのではないでしょうか。なお、タンポポのような実のつけ方を「たんぽ果」と名付けるのはどうでしょうか。「冠毛をつけた痩果」というより「タンポ果」と言った方が、親しみがわくように思いますが、どうでしょうか。
(↑上の写真)左と中=スミレ、右=史跡本丸跡
(↑上の写真)左=タチツボスミレ、中と右=キジムシロ
(↑上の写真)左=本丸跡より八ヶ岳を望む、中と右=ジュウニヒトエ