城山(しろやま)かたくりの里は、神奈川県津久井湖の東方に位置する個人の所有地。カタクリを主にしていますが、多様な山野草が植栽されています。この時期の4月19日まで入園料500円で開放されています。訪ねた今日午後は霧雨に包まれ、花は雫で悲し気に俯いてしまっていました。写真にはイマイチでしたが、人とすれ違わず、じっくり園内を愉しむことができました。今日の様子を報告します。<写真をクリックすると拡大されます>
(↑上の写真)左=手前カタクリの群生風景、中=シャクナゲ、右=シャクナゲ「春一番」
シャクナゲ(石楠花)=ツツジ科ツツジ属。(原田マハ著「美しき愚かものたちのタブロー」より)(昭和28年5月、葉山の吉田邸を訪れた美術史家田代雄一に)薫風にかすかに揺れる石楠花に視線を移して、不意に吉田茂が言った。「わしはなあ、田代君。悔いているんだよ。松方(幸次郎)さんの葬式(昭和25年6月27日)に顔を出せなかったことを」(吉田は対日講和のために訪れたダレスに6月21日以来会っていたのだ。そして6月25日北朝鮮が南進、朝鮮戦争勃発、6月27日トルーマン大統領が北朝鮮に宣戦布告したのだ。当時は、そういう状況だったのだ。一部翻案)
(↑上の写真)左=ミツバツツジ、中=白花ミツバツツジ、右=ベニバナヤシオツツジ
(↑上の写真)左=園内の様子、中=エンコウソウ、右=ヒメリュウキンカ
エンコウソウ(猿猴草)はキンポウゲ科リュウキンカ属。自生地は極東アジア。日本では本州、北海道の山地の湿地。エンコウソウはリュウキンカ属ですからリュウキンカ(立金花)に似ていて、その変種といわれます。花は花弁がなく、黄色い花弁のように見えるのは黄色の萼片だそうです。花弁は雄しべになってしまったということで雄しべがたくさん集まり雄蘂(ゆうずい)を形成しています。葉の形はリュウキンカですが、この写真では他の草の葉に隠れています。右の写真、ヒメリュウキンカは、花弁の形はエンコウソウと違い細身です。葉が黒褐色なのは変種、園芸種でしょう。
(↑上の写真)左=ヤマネコノメ、中=ショウジョウバカマ、右=シラネアオイ
(↑上の写真)左=タンチョウソウ、中=イワカガミ、右=オオイワウチワ
(↑上の写真)左=ハルトラノオ、中=オオバキスミレ、右=ヤマブキソウ
ハルトラノオ(春虎の尾)はタデ科イブキトラノオ属。春早く虎の尾のような花穂を立てるので、その名がついたという。日本固有種で本州の福島県以西、四国、九州に分布し、山地の木陰のやや湿った場所に生育するということです。
(↑上の写真)左=エチゴルリソウ、中=カタクリ、右=カキドオシ
(↑上の写真)左=オキナグサ、中=チャルメルソウ、右=ミミガタテンナンショウ
ミミガタテンナンショウ(耳形天南星)はサトイモ科テンナンショウ属。雌雄異株(いしゅ)。仏焔苞の口の部分に耳たぶが付いている感じ。仏焔包の中に水芭蕉と同じような肉穂花序(にくすいかじょ)をもち、苞の筒部分に囲まれているので外部からは見えない。肉穂花序の先は棍棒状の付属物がついていて、それは筒より先に出ているので見ることができる。キノコバエなどの小さな昆虫が仏焔苞の筒の中に入り、出口を探している間に雄花の花粉で花粉濡れになると、ようやく雄株にだけある下部出口から脱出し、そのコバエが雌株の仏焔苞に飛び込むと受粉が成立する。雌株には出口がないので、キノコバエは筒の中で死んでしまう。なお、成長につれて性転換し、若い時は雄株で、成長すると雌株になる、ということです。(田中肇著「花の顔」参照一部翻案)
(↑上の写真)左=スハマソウ、中=イカリソウ、右=トキワイカリソウ
(↑上の写真)左=ミヤマシキミ、中と右=バイモ、右=フリチラリア?
バイモ(貝母)はユリ科バイモ属の多年草。原産地は中国で、江戸時代生薬として渡来。貝母の名は、地下に鱗茎があり、その鱗茎が二枚の厚い貝状になっており、二枚貝のようだから名付けられたそうです。和名は網傘百合で、花にある網目模様から名付けられたということです。上の右側の写真、黒紫色のバイモは、フリチラリアというバイモ属の仲間でフリチラリア属ともいわれるようです。ヨーロッパから西アジアの植物ということで、日本には最近フリチラリアとして登場したようです。