穏やかな天気の中、春の息吹を感じに訪れました。ここは、山野草を特に意識して育ててるわけではないので、今まで訪れた植物園のようには、花の種類は多くありません。しかし、これが自然の有り様です。平山城址公園は、年末まで東園の遊歩道が工事中でした。完成した遊歩道を歩くと起伏の中に東園がうまい具合に一周できます。なお、隣の東京薬科大の植物園は新型コロナウイルスのため大学休校も含めて休園でした。
(↑上の写真)左=公園入口、中と右=ウグイスカグラ
ウグイスカグラ(鶯神楽)はスイカズラ科スイカズラ属。インターネット「差塩と趣味の世界(平成31年3月7日)」に「この花が咲くころ、郷里では今はその風景が見られなくなってしまったが、種籾を蒔く準備をするため水温む苗代の代掻きを始めるのである。やがて苗が育ち田植えをする頃は、赤い実をつけ、よく食べたものである。」と回顧談が載っていました。名の由来は諸説あり、鶯を捕まえる「狩り座(かりくら)」が訛ったもの、鶯がこの木の中を飛び回る様子が「神楽を舞う」ようだったからというもの、鶯がこの木の中をとび渡り、隠れる様子の「鶯隠れ」が訛ったものなど、どれもそれらしい感じがしますね。
(↑上の写真)左=マルバスミレ、中=タチツボスミレ、右=ヒメカンスゲ
万葉集で山部赤人が「春の野に すみれ摘みにと来しわれそ 野をなつかしみ 一夜寝にける」と詠っています。これを個人的に勝手に解釈すると「乙女(すみれ)たちがやわらかな陽光に戯れている春の野に、素敵なひと(すみれ)と出会うかな、とやってきた私は、野辺に戯れる乙女たちの美しさに心惹かれ、彼女らに見惚れて一夜を明かしてしまった」と思いを馳せますが、どうでしょうか。奈良地方には変種を含め41種のすみれが自生しているそうです。山部赤人は、このタチツボスミレ(立坪菫:スミレ科)を見ていたのでしょうか。