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この時期、山野草の花はほとんど見られません。ここでも申し訳なさそうに、しかし、大きい顔で、アジサイ、ドクダミ、遅れたノアザミが咲いていました。この雨を喜んでいるには、シダ植物でしょう。常緑のシダをはじめ、夏緑性のシダが葉を広げています。第3樹木園では、ウラジロ、コシダなど東京では珍しいシダが見られます。
(上の写真)左=ウラジロ、中=ウラジロの白い葉裏、右=コシダ
ウラジロ(裏白)はウラジロ科。目出度い草とされ鏡餅の間に昆布とともに挟んで飾りましたね。もともと関東以南の暖地の多年草で、ウラジロを単にシダ(歯朶)と呼んでいたそうです。朶は枝の意味だそうで、裏白のように白い歯がいつまでも並んでいる健康長寿を愛でたもののようです。
(上の写真)左=イワガネゼンマイ、中=イワガネゼンマイの葉裏の葉脈、右=ゲジゲジシダ
イワガネゼンマイ(岩が根発条)はウラボシ科。そっくりなものにイワガネソウがあります。両者の区別は、表を見ているだけでは難しく、裏の葉脈を見るとはっきり違いが分かります。イワガネゼンマイは、中の写真のように葉脈が発条(ゼンマイ)のように葉縁に向かって平行に走っています。イワガネソウはそこの部分が輻輳(ふくソウ)しているからと言いがかりで覚えています。
(上の写真)左=ヤマヤブソテツ、中=ヤマイタチシダ、右=ヒメワラビ
ヤマヤブソテツ(山藪蘇鉄)はウラボシ科。藪から顔を出したソテツのような葉に無理すれば見えるヤブソテツ。そのヤブソテツの小葉の茎の先端よりの耳垂(じすい)と呼ばれる耳たぶのような部分があるのがヤマヤブソテツです。拡大してみると判ります。
ドクダミ(毒痛み)はドクダミ科。毒と痛みに効くことからドクダミと言われるとのことです。子供の頃、はれ物ができると葉を揉んで押し付けておきましたし、虫に刺された時には葉のしぼり汁を塗って、かゆみや痛みを治したものです。また乾燥させてお茶のように使い、ゲンノショウコと同じように胃腸薬として飲まされました。その薬効が素晴らしく十の薬の薬効に匹敵するというので十薬(じゅうやく)とも言われるとのことです。蚊に刺された時のかゆみ止めにお奨めです。