野楽力研究所

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東京都薬用植物園・・・令和元年5月6日

 

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ヒトツバタゴ(ナンジャモンジャ)が満開です。カラタネオガタマは2分咲き。キンラン、ササバギンランフタリシズカもたくさん咲いています。また、ケシ栽培園外側フェンス開放は5月18日(土)まで。特別内側フェンス開放は5月8日・9日9:30〜10:00先着70名。お奨めです。

(下の写真)左=イブキジャコウソウ。中=マイヅルソウ。右=フタリシズカマイヅルソウ舞鶴草)はキジカクシ科マイヅルソウ属。牧野植物図鑑では、葉の葉脈の曲がり方を鶴が羽を広げた形に見立てて名づけたと言います。諸説の中には、葉の模様が家紋の舞鶴紋に似ることから、舞鶴草という名がついたというのもあります。しかし、どう見ても葉脈は舞鶴には見えないですし、家紋の本でも、葉脈のような文様にはなっていません。むしろ、写真のように2枚の葉が羽で花が鶴の首と言われると舞鶴に見えてきます。どうでしょうか。

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(下の写真)左・中=キンラン。右=ササバギンランキンラン(金襴)はラン科キンラン属。キンランは樹木の根から栄養をもらい、その代わり土中のミネラル分などを樹木に与える共生関係をもっているそうです。しかし、その関係は単純ではなく、キンランと樹木の根を取り結ぶための外菌根菌といわれる菌根菌の介在が必要ということです。キンランを単独で庭などに移植しても適切な樹木の根と外菌根菌が存在しなければ生育できないということで、移植は難しいというのが定説のようです。どうでしょうか。

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(下の写真)左=コバノタツナミソウ(紫)、コバノタツナミソウ(白)、右=キケマン

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(下の写真)左・中=ヒトツバタゴ。右=ハクウンボクヒトツバタゴ(一ッ葉田子)はモクセイ科ヒトツバタゴ属。木曽川の流域の一部と長崎県対馬のごく限られた地域のみに自生するので見慣れない木であることから、ナンジャモンジャの木と言われるようになったそうです。他の木(カツラなど)でも見慣れないものはそう言われるということです。絶滅危惧種となっています。タゴとかアオダモのダモというのはトネリコ属にいわれる名で、羽状複葉になっています。ところがヒトツバタゴは、トネリコ属ではないですが、花が似ているので梣(トネリコ)の仲間と思われ、複葉でなく単葉なので一ッ葉のトネリコという意味でヒトツバタゴといわれているということです。なお、北海道ではアオダモのことをトネリコと呼んでいるそうです。

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(下の写真)左=カラタネオガタマ。中=ベニバナトチノキ。右=タラヨウ。カラタネオガタマ(唐種招霊)はモクレン科。モクレン科なので香がよく、バナナの香がします。オガタマは招霊(おきたま)即ち、この木の枝を神前に供えて神霊を招く祈祷をすることを「おき奉る」と言うそうで、それが転訛してオガタマと言うようになったということです。関西の神社ではサカキ、関東の神社ではヒサカキを神前に供えるように沖縄の神社ではこの木が供えられるそうです。中国南部原産。(資料:湯浅浩史著「花おりおり」など)

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 (下の写真)左=ヒマラヤの青いケシ(低温室にて)。中=ヒナゲシ。右=ケシ栽培園の開放。ヒナゲシ(雛罌粟)ケシ科。与謝野晶子が5月のヒナゲシに包まれたパリを訪れた際「ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟(コクリコ)われも雛罌粟」と、コクリコ(フランス語でヒナゲシのこと)と共に夫に逢えた感動を詠みきりましたね(資料:石田郁代著「与謝野晶子をとりまく人々」)。

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(下の写真)左=シャクヤク。中=シラン。右=チョウジソウ。チョウジソウ(丁字草)はキョウチクトウ科。牧野植物図鑑によれば「花の形がチョウジに似た草であるのでいう」と書いてありますが、フトモモ科のチョウジといわれる樹木の花とは全く異なります。他に、花を横から見たら丁の字に似ているからというものから、チョウジの蕾を乾燥したものは生薬として売られ、その形が丁の字に似ているからというものまで諸説ありますが、どれも相当の強弁に聞こえます。あなたの説を教えてください。

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