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ここ図師小野路(ずしおのじ)は里山に囲まれた谷戸の自然が保全されているところとして東京都より歴史環境保全地域に指定されているところです。アクセスは、多摩センター駅または鶴川駅より、本数の少ないバスのみです。しかし、年に一度といわず訪ねたいところです。
(下の写真)左=キンラン。中=ホタルカズラ。右=ジュウニヒトエ。ホタルカズラ(蛍蔓)はムラサキ科の多年草。この花をちょっと持ち上げてみると茎の下に丈夫な木の枝のようなものが付いてきます。これは木本か、と思ったくらいです。花後伸ばす走出枝が木化し、翌年その先端に走出枝と直角に上向きに茎を伸ばし花をつけるという仕組みのようです。暗い周囲の中でこの花を見つけると確かに明るい蛍の光を想像します。また、葛(かずら)というのも走出枝を伸ばすことから名づけられたのでしょう。
(下の写真)左=アマドコロ。中=ホウチャクソウ。右=チゴユリ。チゴユリ(稚児百合)はイヌサフラン科。種子でも増えますが、地下茎の先端に新しい株をつくっても増え、その新しい株ができた時には、古い株とは縁を切るようです。そのようにしてよく群生しています。地下茎で増えたのでは、クローンが増えることになり、種の安定のために交雑が必要ということになります。それで花を下向きに咲かせ、送粉距離の短いハチを避け、送粉距離が長く、遠くまで花粉を運んでくれるマルハナバチを待つ作戦に出たようです。
(下の写真)左=里山に囲まれた谷戸の風景。中=ヤマウツボ。右=オオジシバリ。ヤマウツボ(山靫)はハマウツボ科。葉緑素を持たない寄生植物で、他の樹木などの根に自分の根を絡ませ、養分を頂戴し、根を地中に這わせて増えていくということです。ここでは周囲に樹木の無いあぜ道に花を咲かせていました。草の根でもいいようです。海岸に生える同様の寄生植物ハマウツボに対して山に生えるということでヤマウツボと名づけられたそうです。ウツボは、昔、武士が矢を持ち運ぶ篭の靫(うつぼ)に花の形が似ていることによる発想のようです。
(下の写真)左=ツクバネウツギ。中=ヤマツツジ。右=コガマズミ。ツクバネウツギ(衝羽根空木)はスイカズラ科。実になっても残る5枚の萼片と実の様子が衝羽根に似ている所から名づけられたようです。似たようなものに街路の生垣として植えられているハナゾノツクバネウツギがありますね。別名アベリア、ハナツクバネウツギ。ツクバネウツギを小形にしたような感じです。