オキナグサ、ニリンソウがひっそりと咲いています。ミミガタテンナンショウがあちこちに花(実は仏炎苞)を広げ、雑木林の主となっています。地味な花が多い中、ポピー(ヒナゲシ)が色鮮やかに輝いています。
(下の写真)左=オキナグサ。中=ニリンソウ。右=ミミガタテンナンショウ。ミミガタテンナンショウ(耳形天南星)はサトイモ科。サトイモのような球茎のある多年草。雌雄異株。仏焔苞の口の部分に耳たぶが付いている感じなので耳形天南星と呼ばれるようです。仏焔包の中に水芭蕉と同じような肉穂花序の花をつけますが、苞の筒部分に囲まれているので外部からは見えません。肉穂花序の先は棍棒状の付属物がついているので、それは筒より先に飛び出ているので見えます。キノコバエなどの小さな昆虫が仏焔苞の筒の中に入り、出口を探している間に雄花の花粉で花粉塗れになると、ようやく雄株にだけある下部出口から脱出し、雌株の仏焔苞に飛び込むと受粉が成立するという仕組みになっているということです。雌株には出口がないので、キノコバエは、最後は筒の中で死んでしまうわけです。なお、成長につれて性転換するそうで、若い時は雄株で雄花をつけ、成長すると雌株になり雌花をつけるそうです。なぜなら、種子をつくるには相当のエネルギーが要りますが、花粉だけをつくるにはそれほどエネルギーを必要としないから若い時は雄株だそうです。(田中肇著「花の顔」と多田多恵子著「したたかな植物たち」を参照)
(下の写真)左=ポピー。中=ハシリドコロ。右=アミガサユリ。ポピーはヒナゲシ(雛罌粟:ケシ科)で虞美人草とも言われます。(史記・三国志)項羽が劉邦に追いつめられたとき、項羽の愛人虞(虞姫=虞美人)は自害し遺骸は葬られましたが、その墓には翌夏赤いヒナゲシの花が咲いたというので、この花のことを虞美人草というようになったといわれます。夏目漱石の小説「虞美人草」の最後の場面、三角関係のもつれから、藤尾という女性が悶絶し、その死の床の北枕元に立てられた屏風に酒井抱一の落款のある虞美人草が描かれていたというそこにだけ虞美人草という言葉が出てきますね。
(下の写真)左=カタクリ。中=イカリソウ(白花)。右=イカリソウ(ピンク)
(下の写真)左=ヒトリシズカ。中=キクザキイチゲ。右=花のようなセリバオウレンの実。
(下の写真)左=ノウルシ。中=キケマン。右=シュンラン。
(下の写真)左=ヒュウガミズキ。中=トサミズキ。右=モモ。