野楽力研究所

近くの自然で野楽力を高めましょう

都立神代植物公園・・・令和3年12月9日

 いよいよ里のもみじも終わりに近づきました。昨年より3日ほど早くなっています。昨日の冷たい雨が影響したのかも知れません。かえで園ではもみじの赤色や黄色が真っ青な空に映えていました。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=正門を入っての女性像、中=フユノハナワラビ、右=アカハナワラビ

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(↑上の写真)左=ツヤブキ、中=イソギク、右=タラヨウの実

(↓下の写真=園内の青空に映える紅葉、黄葉の様子)

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<↓下の写真=大温室にて>

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(↑上の写真)左=大温室全景、中=ネコノヒゲ、右=コエビソウ

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(↑上の写真)左=ホシダ、中=シマオオタニワタリ、右=タマシダ

(↓下の写真=ラン室にて)

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(↓下の写真=ベコニア室にて)

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(↓下の写真=スイレン室のブーゲンビリア

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(↓下の写真=スイレン室にて)

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高幡不動尊境内・・・令和3年12月4日

 紅葉の季節が終わろうとしています。急いで高幡不動尊境内に紅葉狩りに行きました。ここは夏にはアジサイ、秋にはもみじで有名です。野楽力研究所としては歴史のあるお寺ですので、シダ植物もその種類が多く、シダ観察も楽しみの一つです。今日のもみじ、シダの様子です。

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(↑上の写真)左=高幡不動尊、中=マンリョウ、右=センリョウ

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(↑上の写真)左=サザンカ、中=ヤマハギ(白、稀)、右=オオハナワラビ

 オオハナワラビ(大花蕨)はハナヤスリ科。この時季、場所によって、同じようなオオハナワラビとフユノハナワラビ(冬花蕨)が観察できます。高幡不動尊境内では、鐘楼の西斜面に昨年はオオハナワラビがたくさん見られましたが、今年は下草刈りがされていて、その部分では見られませんでした。写真を撮ったところで2株が観察できました。村田威夫共著『シダ植物』では、「オオハナワラビは夏には姿を消してしまう冬緑性で、やや湿った林床に秋から冬にかけて芽を出す。根茎は短く、肉質の根で、この短い根茎から1本の柄(え)を地上に伸ばし、その先に一枚の栄養葉と1本の胞子葉をだす」そうです。栄養葉は光合成を行い、胞子葉は胞子をつくります。年に、この2本しか生じないので、これを刈り取られると増えることができません。大花蕨、冬花蕨とも葉身は五角形で、3回羽状に深裂することは、同じですが、大花蕨の栄養葉の裂片葉縁には目立つ鋭鋸歯がついているのが区別点です。

(↓下の写真=もみじの様子)

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(↓下の写真=シダ各種)

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(↑上の写真)左=ヤブソテツ、中=フモトシダ、右=リョウメンシダ

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(↑上の写真)左=ミゾシダ、中=ミゾシダの葉裏、右=イヌワラビ

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(↑上の写真)左=イワガネソウ、中=ミドリヒメワラビ?、右=ヒメワラビ

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(↑上の写真)左=イノデ、中=イノモトソウ、右=オオバノイノモトソウ

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(↑上の写真)左=ジュウモンジシダ、中=ジュウモンジシダ(タマシダのように見えるが)、右=タチシノブ

 ジュウモンジシダ(十文字羊歯)は、オシダ科 イノデ属。日本全土や朝鮮、中国の山地の林床に生えるという。葉軸の一番下の羽片が羽軸を伸ばし、葉軸と同じように左右に羽片を持ち、葉軸と同じような単羽状の葉を付けています。葉の付き方が同じような3軸が3方向に出ているのでその形が十文字のように見えるの(上の左の写真)が、このシダの特徴ですね。上の中の写真で「タマシダのように見える」というのは、一番下の羽軸が見にくく、葉軸だけが長く見えて、タマシダのように見えてしまいました。タマシダは西南日本沿岸部の温かい地方に自生しているので高幡不動尊境内では自生は無理でしょう。

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(↑上の写真)左=ゼンマイ、中=ゲジゲジシダ、右=カタヒバ

 

 

都立滝山公園・・・令和3年12月2日

 朝夕の冷え込みは今季一番のようでしたが、空気は澄んで肌にピリッとし、底の抜けた様な青空が広がっていました。紅葉前線もいよいよ里まで下りてきました。東京多摩丘陵の紅葉も一番の見ごろを迎えています。滝山公園は本年滝山城築城500年を迎えていました。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=滝山城本丸跡記念碑、中=カントウヨメナ(残花)、右=ヤブムラサキ(実)

 ヤブムラサキ(藪紫)はシソ科ムラサキシキブ属。「APG牧野植物図鑑Ⅱ」によると岩手県以南の本州と四国、九州及び朝鮮半島に分布し、山地に生える1~2mの落葉低木。ムラサキシキブとヤブムラサキの葉に触れてみると、一目瞭然。ヤブムラサキは名前に似ずビロードのような肌触りでふわふわした肌に優しい感じです。また、ヤブムラサキの実は葉の上に出ず、葉の陰に隠れるようについています。数の少ない樹種なので、近隣の公園でも見つからないことが多く、見つけられたら御の字でしょう。

(↓下の写真)見事な紅葉・黄葉のショット

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(↓下の写真)澄み切った青空のショット

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(↓下の写真)各種シダ

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(↑上の写真)左=ベニシダ、中=ハリガネワラビ、右=ヤマイタチシダ

 ハリガネワラビ(針金蕨)はヒメシダ科ヒメシダ属。北海道南部以南の山地林下に多い夏緑性のシダという。夏に生え、冬には枯れてしまう夏緑性のシダですので、上の写真でも緑が褪せて、黄色くなっています。2回羽状で切れ込みと一番下の羽片がハの字形をしていて全体の草姿に特徴があるので、見分け易いです。葉柄が長くてかたいので針金のようだからハリガネワラビと名づけられたと言います。どうでしょうか。

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(↑上の写真)左=ヤブソテツ、中=リョウメンシダ、右=オクマワラビ

武蔵国分寺万葉植物園・武蔵国分寺公園・・・令和3年11月26日

 武蔵国分寺万葉植物園と隣接の武蔵国分寺公園を訪ねました。万葉植物園は、万葉集の中に読み込まれた植物が集められていますが、季節柄、崖線の日当たりが悪い斜面でイマイチでした。武蔵国分寺公園は、紅葉・黄葉が見事でした。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=武蔵国分寺・万葉植物園入口、中=楼門、右=ハゼノキ

 ハゼノキ(櫨の木、黄櫨の木)ウルシ科ウルシ属の高さ10m位の落葉(小)高木。中国、インドシナなどに分布し、日本には江戸時代頃に琉球王国から持ち込まれ、関東地方以西から琉球列島に野生化している。そのため別名をリュウキュウハゼということもある。在来のヤマハゼに似るが、芽の鱗片以外全く無毛。葉は奇数羽状複葉で4~7対の側小葉をつけ、秋に紅葉する。樹液や若い実にはかぶれる物質ウルシオールを含み、触れるとかぶれる。和名ハゼノキ(櫨)の由来はハジが転じたもので、ハジはかつてヤマハゼやヤマウルシを意味していたという。菊池寛著『恩讐の彼方に』の中に櫨が出てきますね。主人公市九郎は主人を殺めて主人の寵妾お弓と逐電する。悪行を重ねるが、後悔し、辿り着いた美濃国浄願寺で得度し、半年で智識となり、諸人救済のため諸国雲水の旅に出る。享保九年の秋、筑紫に来た時『筑紫の秋は、宿りごとに更けて、雑木の森には(ハゼ)赤くただれ、野には稲黄色くみのり、農家の軒には、この辺の名物の柿が、真紅の珠をつらねていた』と。赤く色づいた櫨の葉や稲穂、干し柿などの秋が深まりゆく風景に市九郎はどんな感懐を抱いたでしょうか。

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(↑上の写真)左=モミジ(手向山)、中=マンリョウ、右=フユイチゴ

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(↑上の写真)=ヨメナ、中=コブシ、右=イロハモミジ

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(↓上の写真)左=イノデ、中=ハコネシダ、右=オオバノイノモトソウ

 ハコネシダ(箱根羊歯)はホウライシダ科。日本の山間の崖地に生え、観葉植物アジアンタムとして栽培されるホウライシダに似て、丸い小葉を多数つける。ソーラス(胞子嚢群)は小葉縁の中央にのみつく。小葉縁は鋸歯状となりそこにはソーラスはつかないことがホウライシダとの区別点。 

(↓以下の写真)=武蔵国分寺公園の紅葉・黄葉

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山梨県田野の景徳院を囲む甲斐の山々の錦繍・・・令和3年11月25日

 山梨県田野の錦繍も終わりかけた中、景徳院を訪ねました。この寺は、武田勝頼公一族の霊を弔うためにに、徳川家康が寄進したものと言われます。織田・徳川連合軍との戦で勝頼公は新府城を放棄して、家臣の小山田信茂を頼りましたが、裏切られ田野において自害したものです。境内には、勝頼公と夫人の生害石や墓地が保存されています。周囲の甲斐の山々は陽に映えて名残の錦繍が輝いていました。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=景徳院総門、中=山門、右=本堂

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(↑上の写真)左=鐘撞堂、中=勝頼公の生害石、右=夫人の生害石

(↓下の写真)景徳院周囲の山々の名残の錦繍

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多摩森林科学園・・・令和3年11月20日

 多摩森林科学園は中央線高尾駅から北へ徒歩10分。この時季、京王線に乗り換えて高尾山の方へ行ってしまい、科学園に足を向ける人はまずいません。そうですから、ゆっくり科学園の自然を独り占めにできます。修復が終わり、奥まで見学ができます。紅葉は勿論ですが、第3樹林地には、各種シダが生えていて、シダの観察に適した場所になっています。桜保存林は、葉をすべて落としていました。今日の様子です。

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(↑上の写真)左=森林科学館、中・右=園内もみじ

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(↑上の写真)左・中=イタアカエデ、右=イロハカエデ

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(↑上の写真:園内の黄葉)左=イヌビワ、中=ヤマグワ、右=イヌブナ

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(↑上の写真:秋の残花))左=アキノタムラソウ、中=サラシナショウマ、右=クサギ(実)

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(↑上の写真)左=ハダカホオズキ、中=ヤマホロシ、右=フユイチゴ

 ヤマホロシ(山桯・山保呂之、山疿子)はナス科ナス属。北海道から九州、朝鮮半島、中国の温帯の山地に生える蔓状の多年草。ほとんどの図鑑は、ホロシの語源は、不明か解説なしです。Web上ではいろいろな情報があります。植物分類学者の高橋秀男氏は「ホロシは、赤い果実を皮膚にできる疿子(ほろし)(小さな発疹)に見立てたものである」としています。(Web:四季の山野草)では「ホロシとは ヒヨドリジョウゴ の古名で、赤く熟した実が乾燥すると皮がぶつぶつ状になる様子を皮膚病のホロシに見立てた名前」としています。ここら辺りの説が、説得力がありそうです。すると和名は「山疿子」がよさそうです。漢名の山桯の桯(音=テイ、意味=寝台の前に置く小さな机、横木と出ています。)では理解に苦しみます。野楽力研究所としては、和名は「山疿子」を推奨します。赤い実を「疿子」と思ってみると「山桯」では感じなかった親しみを感じますね。

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(↑上の写真)左=ヤマイタチシダ、中=オオイタチシダ、右=フモトシダ

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(↑上の写真:どれもウラジロ)左=特徴的二叉の分枝、中=表面、右=ウラジロと言われる理由の裏が白い。

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(↑上の写真)左=コシダの二叉・二叉の特徴的形態、中=コシダの葉裏、右=第3樹木園の園路 

 コシダ(小歯朶・小羊歯)はウラジロ科。関東より西の地方に生える。コシダは、マツタケの生える松林に生えていることが多いので、マツタケを籠に盛る時、このコシダの葉を敷くそうです。コシダは「小さいシダ」の意味ですが、ウラジロに比べて小さいからです。昔はウラジロのことを単にシダと呼び、歯朶の字をあてたということで、朶は枝の意で羽片を歯にたとえたということです。漢名の羊歯はオシダのことだといいます。ですが、今では、歯朶も羊歯もシダ類全般を指す語となっています。シダの歯は齢(よわい)のことだと(漢字に歯の字が使われているので、牽強付会ですが)読ませ、長寿を表しているということです。つまり、シダとは長寿の目出度い草というわけで、正月の注連飾りや鏡餅の飾りに用いられてきました。さらにウラジロは葉裏が白いことから、「心の潔白さ」と「白髪になるまで長生きする」ということも表すそうで、コシダも同様でしょう。<上の写真参照>(Web:レファレンス協同データベースなど参照)

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(↑上の写真:どれもベニシダ)左=ベニシダの形態、中=一番下の羽片の小羽片の特徴的な形態、右=葉裏の胞子嚢群のつき方

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(↑上の写真:どれもハリガネワラビ)左=ハリガネワラビの形態、中=葉裏の胞子嚢群、右=表面の羽軸の色がきれいに変化したもの

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(↑上の写真)左=ゲジゲジシダ、中=ホシダ、右=リョウメンシダ

 ゲジゲジシダ(蚰蜒羊歯)はヒメシダ科。(村田威夫・谷城勝弘共著:野外観察ハンドブック「シダ植物」)によると東北地方中部から九州に広く分布し、葉軸に小羽片が翼のように並ぶ様をゲジゲジの脚に見立てて名づけられた、という。確かに、羽片がついている葉軸に菱形の小羽片が翼のように並んでいます(写真参照)。これが見わけの最大の特色です。

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(↑上の写真)左=イワガネゼンマイ、中=ヤブソテツ、右=コバノヒノキシダ

 

 

 

 

都立野川公園・自然観察園・・・令和3年11月18日

 秋の深まりを感じさせる野川公園と自然観察園を訪れました。すでに花を終え、実を結んでいるものもあれば、これから咲き始めたものもあり、それぞれの植物のこの時季の佇まいを見せてくれています。野川公園と自然観察園の今日の様子です。

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(↑上の写真)左=ニシキギ、中=トウカエデ、右=イロハカエデ

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(↑上の写真)いずれも同じエノキ(エノキの黄葉の様子です。)

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(↑上の写真)左=自然観察園入口、中=ガマズミ、右=トチノキ

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(↑上の写真)いずれもサンショウ、左=雄木、中=樹皮、右=雌木

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(↑上の写真)左=園内風景、中=サネカズラ(ビナンカズラ)、右=シオデ

 シオデ(牛尾菜)はサルトリイバラ科サルトリイバラ属。『APG牧野植物図鑑』によると「日本各地、台湾、東アジアの温帯に分布し、原野や山林の縁に生えるつる性の多年草。葉柄の基部に巻きひげがあり、他物に絡む。雌雄異株。花は夏、黒色の実を結ぶ。若菜は山菜として食用される。和名は北海道のアイヌの方言シュウオンテによる。漢名牛尾菜を慣用。」とあります。和名はアイヌ語のしかも方言ということですね。(ブログ:BOTANICA)によると、群生せずなかなか見つからないことから「幻の山菜」と呼ばれているそうです。山菜狩りの時期は、新芽が出る春頃。「山アスパラ」ともいわれ、芽が生長して伸びていく姿や、食感がアスパラに似ているということです。

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(↑上の写真)左=ハダカホオズキ、中=イヌホオズキ、右=ヤブラン

 ハダカホオズキ(裸鬼灯)はナス科ハダカホオズキ属。『APG牧野植物図鑑』によると「本州から琉球列島、台湾、アジアの暖帯から亜熱帯に分布し、山野の木陰に生える多年草。茎はやゝ二叉状に分枝する。葉は薄く、花は夏から秋。赤い果実は初冬まで枝に残る。和名は萼が果実を包まないことからついた」とあります。確かに、この赤い実に網の目のカバー(=萼=がく=が袋状に変化したものなんですね)をかければホオズキになりますね。

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(↑上の写真)左=リンドウ、中=ノハラアザミ、右=トネアザミ

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(↑上の写真)左=タマノカンアオイ、中=アワコガネギク、右=シロバナアブラギク

 アワコガネギク(泡黄金菊)はキク科キク属。APG牧野植物図鑑によると「岩手県以南の本州と北九州や四国の一部、及び朝鮮半島中国東北部のやゝ乾いた山麓や土堤などに生える多年草。花は秋、径1,5cm位の頭花をつけ花後下を向く」とあります。牧野新日本植物図鑑によると牧野富太郎氏自身が黄金色に泡のように咲くこの菊を泡黄金菊と名づけたという。また、別名キクタニギクは、京都の菊谷に自生地があるので自生地の名を取って名づけられたと言われます。

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(↑上の写真)左=フユイチゴ、中=ヤマコウバシ、右=センボンヤリ

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(↑上の写真)左=ヤクシソウ、中=キチジョウソウ、右=オオジシバリ

 ヤクシソウ(薬師草)はキク科アゼトウナ属。日本各地の日当たりの良い山地や道端に生える2年草。和名については牧野植物図鑑では「薬師草かと思うが語源は不明」とあります。御利益がとてもありそうな名前なので、いい逸話を差しげたいですね。諸説には、根生葉の形が薬師如来の光背の形に似ているので名づけられたとか、傷つけると白い乳液をだし、これが苦いので薬効がありそうというので薬師草と名付けられたというのもあります。……「治らないと宣言された病に冒された美しかった娘が、薬師様を信じて21日間願を懸け、病気全快を祈りました。満願叶う百日目に詣でるとなんと薬師堂の周りは黄色い花が咲き乱れ、病に冒された娘は全快し、もとの美しい娘になったということです。娘は薬師堂の周りに咲いていたこの黄色い花を薬師草と名付け、大切に育てたということです」こんなエピソードはいかがでしょうか。